2023 Fiscal Year Annual Research Report
ホモ・サピエンスの卓越した狩猟技術の東ユーラシアへの波及と人口増加
Project/Area Number |
23H00009
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐野 勝宏 東北大学, 東北アジア研究センター, 教授 (60587781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出穂 雅実 東京都立大学, 人文科学研究科, 准教授 (20552061)
太田 博樹 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (40401228)
蔦谷 匠 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 助教 (80758813)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 先史考古学 / 人口増加 / 東ユーラシア / ホモ・サピエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ユーラシア大陸各地に拡散した新人ホモ・サピエンスが、拡散後に人口増加を果たしていくのに対し、各地にいた旧人ネアンデルタール人やデニソワ人が絶滅していく謎を解明するため、その要因の一つであった可能性のある両人類の狩猟技術と食糧獲得の相違について調査研究する。 初年度である本年度は、モンゴルのタルバガタイン・アム遺跡において発掘調査と測量調査を実施した。発掘調査により、骨製尖頭器を初めとする重要資料を得た。ドローンを用いた航空測量では、遺跡形成の理解に欠かせない詳細な地形図を作成することができた。また、モンゴル科学アカデミーにおいて、タルバガタイン・アム遺跡や他の後期旧石器時代初頭(IUP)遺跡から出土した石器や骨器の写真撮影、三次元スキャン、各種科学分析に備えた予備的なサンプル採取を行った。この他、資料調査が困難なロシアに代え、中国科学院IVPPにおいて中期旧石器時代やIUPの資料調査を行った。ゲノム解析に関しては、縄文人(25体)について新たに全ゲノム配列決定をし、既出の縄文人(17体)と合わせて42体のゲノム情報を解析し、東アジア人集団の形成と旧人の遺伝寄与の程度を理解する上で重要な成果を得ることができた。ZooMSに関しても、コラーゲンの測定を行い、分類群に整合的なスペクトルが得られているかを確認するための準備を進めた。 また、イタリアのローマで行われて国際第四紀学会、ルーマニアのティミショアラで行われた国際先史学・原史学会議等において、成果の一部を発表した。更に、研究成果の一部を国際誌や書籍で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国際情勢により、ロシアでの調査研究は実施できなかったが、代わりに中国科学院において資料調査を実施することができた。モンゴルにおける調査研究に関しては、当初予定通り進めることができた。また、国際学会や国際誌において、当初予定以上に成果を発表する事ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ロシアでの資料調査は当面難しいことが予想されるため、今後はロシアに代えて中国を資料調査対象地とし、モンゴルと中国において資料調査を進めていく。特に、モンゴルでの発掘調査や資料調査を重点的に行い、未だ十分な調査研究が行われていない当該域での研究を飛躍的に進展させる。また、各種科学分析のサンプル採取を本格化させ、多角的に科学分析を進めていく。
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Research Products
(13 results)