2023 Fiscal Year Annual Research Report
戦間期、越境する活動家に対するサーベイランスの実態とその限界
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23H00017
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| Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鬼丸 武士 九州大学, 比較社会文化研究院, 教授 (80402824)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 友和 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 准教授 (10727788)
白石 隆 政策研究大学院大学, 政策研究科, 名誉教授 (40092241)
工藤 晶人 学習院大学, 文学部, 教授 (40513156)
吉田 信 南山大学, 国際教養学部, 教授 (60314457)
大田 省一 京都工芸繊維大学, 未来デザイン・工学機構, 准教授 (60343117)
松枝 佳奈 九州大学, 比較社会文化研究院, 講師 (60870061)
芹澤 隆道 山口県立大学, 国際文化学部, 講師 (70811248)
江頭 進 小樽商科大学, 商学部, 副学長 (80292077)
鈴木 英明 国立民族学博物館, グローバル現象研究部, 准教授 (80626317)
堀内 隆行 中央大学, 文学部, 教授 (90568346)
巽 由樹子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (90643255)
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| Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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| Keywords | サーベイランス / ネットワーク / 警察 / 港市 / 植民地抵抗運動 / 植民地国家 / トワイライト・ゾーン / 出版社 |
| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は戦間期、アジア・アフリカ地域の植民地で植民地統治からの解放を目指した植民地抵抗運動の活動家たちを、植民地国家がどのように監視し、取り締まろうとしたのかを、特に植民地の境界を越えて移動する活動家への監視、取り締まりに焦点を当て、活動家の側の動向や所在、活動の実態と照らし合わせ、さらに活動の「場」であった港に注目しつつ、植民地国家による監視・取り締まり活動の実態とその限界を明らかにすることを目的としている。 2023年度は本研究目的を達成する上で重要となる概念や具体的な研究対象の選定をおこなうために、各研究参加者には本研究に関連する先行研究のリスト化してもらい、国内定例研究会で重要な文献の内容については共有をおこなった。この国内定例研究会は計3回開催し、そこでの報告と議論を通じて、「トワイライト・ゾーン」が重要な概念として浮上してきた。このトワイライト・ゾーンは社会に対する国家のサーベイランスの及ぶ限界点であり、この限界点において国家の側と活動家がどのような活動をおこなっていたのか、トワイライト・ゾーンは具体的にどのような場所に存在したのかなどを今後、詳細に検討していくことになった。もう一点、出版社が果たしていた役割の重要性が浮上してきた。活動家を保護し、地下に潜った活動家の活動を支える存在としての出版社の役割はこれまでも指摘されてはきたが、まだ十分明らかにされているわけではなく、今後本研究の中で、その具体的な姿を明らかにすることを確認した。またオックスフォード大学の医療史研究グループと治安維持と医療をめぐる植民地でのサーベイランスに関する国際共同研究も実施した。今年度、シンガポール、タイ、アメリカ、南アフリカ、イギリス、日本の資料館での文献資料調査や臨地調査を実施した。そこで得られた成果は今年度の研究会で共有したほか、次年度以降の研究活動に活用する。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度にあたる本年度は、国内定例研究会での研究参加者の間での研究目的の共有、本研究に関連する先行研究のサーベイと、重要な文献の内容の共有、そして本研究目的の達成のために、必要となる研究対象や概念の選定などをおこなった。研究実績の概要のところでも述べたように、その結果として「トワイライト・ゾーン」や出版社の重要性などが浮上した。本研究に関連する調査として、シンガポールやタイ、アメリカ、イギリス、日本の資料館での文献資料調査や港を対象にした臨地調査なども開始しており、そこで得られた成果の分析・検討も開始している。またオックスフォード大学の医療史研究グループとの国際共同研究も成果のとりまとめの段階に進んでいる。以上の諸点から、本研究はおおむね順調に進展していると考える。
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| Strategy for Future Research Activity |
次年度は本年度の研究活動によって得られた「トワイライト・ゾーン」や出版社の役割といった成果をより具体的に検討していくことを第一の目的とする。また、引き続きカギとなる活動家の選定、植民地国家間のサーベイランス活動の連携、場としての港の役割の解明なども、国内定例研究会での議論や、国内外での文献資料調査、臨地調査などを通じて進めていく。これまでの研究活動で得られた成果のうち、形にできるものについては書籍や論文の形で公表する。特に、本研究課題の成果を取り込んだ形での、オックスフォード大学の医療史研究グループとの国際共同研究の成果としての英文編著の出版を目指す。
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