2023 Fiscal Year Annual Research Report
A Neuro-Cognitive Study on Legal Mind
Project/Area Number |
23H00036
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
太田 勝造 明治大学, 法学部, 専任教授 (40152136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 淳子 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (00251314)
浅水屋 剛 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 助教 (00377920)
齋藤 宙治 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (20779392)
森 大輔 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(法), 准教授 (40436499)
武居 寛史 東京都立大学, 法学政治学研究科, 准教授 (40802707)
飯田 高 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (70345247)
平田 彩子 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 准教授 (80547810)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | リーガル・マインド / 脳神経科学 / 経験的法社会学 / 法専門家 / 法的判断 / 量刑判断 / 被害者参加人意見陳述 / ベイズ推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
弁護士等の法曹及び司法試験合格者を法専門家の実験参加者とし,法学を履修したことのない大学生を非法専門家の実験参加者として,fMRI(機能的磁気共鳴画像装置)の中で,複数の法的課題と複数の非法的日常的課題を実施してもらう実験のデータを収集した.データとしては被験者が判断をしている間,全脳をスキャンし続けて採集した脳画像である.次年度も引き続きデータ収集を続ける(微細な変化データであるので,一定以上のデータが集まらなければ統計的分析ができないところ,1日に1~2名しか実験できず,専門家は多忙で1月に数名できれば善い方である).2023年度のLaw and Society Associationの学術大会と2023年度の法社会学会学術大会では脳神経科学を用いた経験的法社会学研究の意義と,伝統的な法学に与えるべきインパクトについて議論をした. また,フィールド実験を,裁判員ともなりうる一般人に参加してもらって実施しデータを収集しベイズ統計及び分散分析等の手法で解析して結論を得た.フィールド実験では,インターネット調査の手法とランダム化比較試験(RCT: Randomized Controlled Trial)の手法で収集した,法的当て嵌め判断としての量刑判断に被害者参加人の意見陳述が及ぼす影響のデータを解析して興味深い結果を得た.被告人の反省悔悟の有無と,被害者参加人の態度(非参加,静観,重罰希望,被告人を赦す)の主効果と交互作用効果を,事後確率分布に基づく比較で明らかにすることができた.具体的には,反省悔悟という被告人の情状が量刑判断に相対的に大きな影響を与えること,被害者参加人の重罰希望の影響は相対的に少ないこと,逆に「赦す」との意見陳述は反省悔悟の深い善良な被告人の量刑をある程度以上軽減することなどの成果が得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
fMRI(機能的脳磁気共鳴画像装置)による脳画像の収集は順調に進みデータが蓄積しつつあり,計画通りである.次年度の法社会学会学術大会で途中報告を行うことになっている.フィールド実験の方はすでにデータ解析が終了し,専門雑誌に投稿中(掲載決定済み)であるとともに,2023年9月にスウェーデンで開催されたResearch Committee for Sociology of Lawの大会と2023年12月にマレーシアで開催されたAsian Law & Society Associationの年次大会で中間報告を行った.また,次年度の法社会学会学術大会で報告することになっている.このように,成果が着々と出始めるとともに,研究成果の情報発信を国内,国外の学会の学術大会で行うとともに,学術専門誌への投稿も行った(掲載決定). 以上のように,当初の計画以上の進捗をしている.
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Strategy for Future Research Activity |
fMRI(機能的磁気共鳴画像装置)の中で,複数の法的課題と複数の非法的日常的課題を,弁護士等の法曹及び司法試験合格者を法専門家の実験参加者とし,法学を履修したことのない大学生を非法専門家の実験参加者として,実施してもらう実験のデータを引き続き収集する.次年度も引き続きデータ収集を続けるとともに,事実認定や法的当てはめ判断についてもfMRI実験と行動実験を行う.事実認定に関しては,近時発達の著しいベイズ意思決定論に基づく認知科学の成果を取り入れる予定である.法的当て嵌めについては「過失」や「責任能力」などの判断についてのデータ収集に務める. フィールド実験としては,事実認定(ベイズ・モデル),法的当てはめ(過失や責任能力)について,インターネット調査の手法とランダム化比較試験(RCT: Randomized Controlled Trial)の手法で収集する予定である,また,時間的に可能であれば,ODR(Online Dispute Resolution)など紛争解決における法的判断についても実験を実施する.
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Research Products
(19 results)