2023 Fiscal Year Annual Research Report
Innovative Developments of Flying Mobility Pioneered by Wireless Power Transfer and Motion Control Technologies
Project/Area Number |
23H00175
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤本 博志 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (20313033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 宏二郎 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (10226508)
永井 栄寿 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特任講師 (10898159)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 電動フライングモビリティ / 姿勢制御 / 飛行中ワイヤレス給電 / Tilt wing |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は電動フライングモビリティ(EFM)に対して、飛行中ワイヤレス給電(WPT)によりエネルギーの課題を解決し、モータの高トルク応答性を活かした空気力制御により安全性の課題を解決し、「落ちないEFM」を実現することである。 飛行中WPTに関して、高度およびピッチを変えられるドローンベンチにWPT機器を搭載し、技術開発を行った。飛行中WPTは高度や姿勢が動的に変わるため、WPTの効率や電力が大きく変わる。受電電力は整流器やDCDCコンバータを使用して制御されることが多いが、スイッチング損失が発生する。そこで、高度を積極的に変更して電力制御する手法の提案を行い、スイッチング損失を抑制する手法を提案した。また、ピッチ角を積極的に変更し、受電電力量を最適化する手法も提案した。システム設計に関しては、飛行中WPTによるバッテリ削減効果と受電側搭載機器による重量増加を考慮した手法を提案した。 空気力制御に関して、6自由度ドローンおよびTilt-wing eVTOL機を対象にテストベンチと風洞を使用して技術開発を行った。6自由度ドローンは異なる方向を向くプロペラを使用して機体姿勢を変えることなく水平移動が可能である。その機体構造を活かし、外乱オブザーバ(DOB)を応用して各プロペラに流入する風外乱を推定し、機体に働く風外乱ベクトルを推定・補償する手法を提案した。Tilt-wing eVTOL機ではプロペラ回転数とフラップ角により機体に働く前後および鉛直方向の力を変え姿勢制御するが、各入力から各出力には非線形特性および干渉がある。従来制御では、事前取得した特性マップを使って制御するが、モデル化誤差や風などの外乱に対して弱い。そこで、前後および鉛直方向でそれぞれDOBを適用し、非干渉化しつつ外乱にも対応可能な手法を提案した。 各提案手法は国際会議、国内会議で発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、飛行中WPTおよび空気力制御の研究開発を再現性の良いテストベンチで行った。飛行中WPTの実験には、既に構築していたドローンベンチをWPT機器が搭載できるように改造して実験を行った。本実験機は高度およびピッチが変更できるが、飛行中WPTでは送受電コイルの進行方向の位置も変わる。そこで、送電コイルを架台に乗せ、進行方向の位置変化も再現できるように改良した。WPTシステム設計に関して、飛行中WPTは搭載バッテリを削減できる一方、搭載機器により重量が増加する。そこで、機体重量と送電側コイル敷設率を考慮したシステム設計手法を提案した。また、送電側検知パルスを用いた受電コイル検知手法も実証した。さらに、機体の高度および姿勢が動的に変わることを利用し、半導体スイッチのみによる電力制御だけでなく、機体運動制御と協調させる電力制御手法の開発に成功した。 空気力制御の実験に関して、6自由度ドローンのテストベンチは既に構築されていたが、風洞実験では風外乱が一方向からしか入力できないため、サーボモータを追加し、外乱方向を動的に変更できるように改造した。本実験機で6自由度ドローンの風外乱推定手法および補償方法を提案した。Tilt-wing eVTOL機のテストベンチは新しく設計・製作し、風洞実験でプロペラ回転数およびフラップ角を用いた翼座標系の速度制御手法を提案した。 各課題に対して、提案手法の有効性をテストベンチ実験で示せており、学術論文誌1件、国際・国内会議8件の論文発表を行った。各技術開発の進捗は順調に進展している。 また、実際に飛行検証をするためのTilt-wing eVTOLの設計は慎重に時間をかけて進めており、2024年度内に製作完了を目指す。WPTの目標DC-DC効率95%以上が達成できていないが、回路設計を見直し、改善する。
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Strategy for Future Research Activity |
飛行中WPTに関して、電力制御技術に関しては引き続きテストベンチで開発を行い、2024年度中にマルチロータタイプのドローンに搭載して飛行実証を始める。DC-DC効率の改善に関しては、送電側インバータおよび受電側整流器を設計し直し、変換器効率の改善を行う。WPT部分の効率改善に関しても、電圧や周波数を再検討して、改善を行う。従来のフライトコントローラでは制御周期が遅く、整流器のゲート信号生成ができないため、フライトコントローラとは別にFPGAを搭載し、FPGAによる電力制御、フライトコントローラとFPGAの協調制御に関しても研究開発を行う。 空気力制御に関しても引き続きテストベンチを用いて技術開発を進める。Tilt-wing eVTOL機では、Tilt角が一定の静的な条件において制御の有効性検証ができているが、動的な条件においては実証できていない。ホバリングから巡航への状態遷移を考慮して空気力制御の有効性を検証する。また、小型の実験機を用いて、ホバリング状態で飛行実験を行い、検証を行う。 Tilt-wing eVTOL機の実験機製作に関して、ボディや翼の設計、モータ・プロペラの選定、アクチュエータの選定、センサの選定、フライトコントローラの選定を順次進めており、2024年度中に設計および試作機製作が完了できるように研究を進める。7月中に設計完了、11月中に試作機製作完了を目指す。試作には、2023年度に導入したCF材が使用できる3Dプリンタを活用し、風洞試験などをしながら進める。
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