2023 Fiscal Year Annual Research Report
月面熱環境の特異性発現メカニズムの理解が拓く月面長期滞在法
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23H00211
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
長野 方星 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (10435810)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂谷 尚哉 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 特任助教 (70795187)
小川 博之 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (60311172)
秋月 祐樹 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 研究開発員 (00887573)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 熱物性 / 月面長期滞在 / 宇宙機熱制御 / レゴリス / ロックインサーモグラフィ |
Outline of Annual Research Achievements |
月の砂(レゴリス)の熱物性(熱拡散率,比熱)を明らかにするため,単粒子ミクロ測定およびレゴリス層マクロ計測が可能な装置構築を行った。また温度依存性も測定できるように装置改良を行った。まず月の模擬砂(レゴリスシミュラント)を入手し,単粒子の熱物性の計測ができるよう加熱方法の検討,レーザースポットの最適化,解析条件の検討を行い,有効な測定ができることを確認した。次に本物のレゴリスを入手し,本測定を適用した。その結果,熱拡散率に真空度依存性があることを確認した。これは,レゴリスに多数のクラックがあり,空気の有無により熱拡散率の値が確認されるためであると考えられる。また,加熱周波数依存性もあることが確認された。これはバルク材には見られない傾向であることから,レゴリスの内部のボイドやクラックの影響が熱拡散率測定に影響を及ぼしていることが考えられる。 また,月面模擬環境での実験を行うための月面シミュレーターの設計検討を行った。チャンバー内に設置されるレゴリス層の幅,高さをパラメータとし,外部熱環境の影響を受けない加熱周波数を明らかにし,サイズの決定を行った。 さらに,熱制御方法として検討しているマルチエバポレータ型ループヒートパイプの設計,製作を行い,熱負荷条件に伴う流動変化,スイッチ性を確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究分担者との研究交流も活発であり,順調であると判断できるため。
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Strategy for Future Research Activity |
構築した熱物性測定法を用いて,種々の条件におけるレゴリス単粒子,バルク層の熱物性を明らかにする。また設計結果に基づく月面模擬装置の構築を行う。さらにループヒートパイプについては,宇宙環境での実利用を想定したデバイスの試作を行う。
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