2023 Fiscal Year Annual Research Report
Construction of in vitro human liver disease model capable of real-time temperature mapping and its application to elucidation of disease mechanisms
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23H00260
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Research Institution | Kyoto University of Advanced Science |
Principal Investigator |
田畑 修 京都先端科学大学, 工学部, 教授 (20288624)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 慶 近畿大学, 理工学部, 講師 (00387961)
亀井 謙一郎 京都大学, 高等研究院, 研究員 (00588262)
平井 義和 京都大学, 工学研究科, 講師 (40452271)
四竈 泰一 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80456152)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 生体外ヒトモデル / オルガノイド / 量子温度センシング / マイクロ流体チップ / 非アルコール性脂肪性肝疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
平井・田畑は、細胞培養チャンバに搭載する高精度TEER計測ができる電極レイアウト(寸法・形状・配置)設計手法を開発した。具体的には、構造最適化手法の中で最も自由度の高いトポロジー最適化をTEER電極に適用し,インピーダンス計測における4端子法で細胞培養チャンバの上下面に配置される作用電極・参照電極のトポロジー最適化による設計手法である。TEER電極最適化における設計変数と導電率の定式化法,エネルギー散逸を目的関数とし感度均一性と開口率を制約条件とすることで,オルガノイド内部の温度をマッピングする量子温度センサの光励起とPL測定を阻害しない電極レイアウトの導出に成功した。 四竈は、量子温度計測に使用するダイヤモンド粒子群を選別するためのマイクロ流体デバイスを開発した。デバイスは1つのインレットと2つのアウトレットを有する2分岐マイクロ流路とし、分岐部に流路切り替えバルブを設置した。インレットから導入した1個の粒子を流路上で蛍光分光し、所望のスペクトルの有無に応じて流路切り替えバルブを操作して、粒子を2つのアウトレットに振り分けて選別することに成功した。また、恒温ステージ上に分散させた粒子を用いて粒子温度とZPLピーク波長の検量線を作成した。 亀井・飯田はヒトiPS細胞由来の小腸・肝臓オルガノイドを作成し,小腸オルガノイドの培養液中に脂肪酸を添加することで小腸による脂肪酸吸収機構を再現し,肝臓オルガノイドへの脂肪酸蓄積過程と疾患化を再現する疾患モデルを構築し、熱エネルギー代謝の可視化による肝臓と脂肪の相互作用機構の解明に取り組んだ。1年目で肝臓オルガノイド内に血管構造を導入し,より生体内に近い構造を持つ肝臓オルガノイドを作製することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画からの大きな乖離はない。
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Strategy for Future Research Activity |
田畑と平井は、量子温度センサを用いてオルガノイド内の温度変化をマッピング可能な小腸―肝臓モデルのデバイスをソフトリソグラフィで作製する。デバイス内に培養した細胞の温度変化の計測精度を明らかにして目標スペックを達成するために、高いSN 比が得られるダイヤモンド粒子数や密度を明らかにし、かつデバイス構造や計測システムに起因するバックグラウンドノイズの低減方法を検討する。また四竃と連携して、倒立顕微鏡下で細胞観察をしながらTEER・温度計測可能な小型インキュベータの設計に着手する。 四竃はAnalytic-T BoCに搭載する量子温度センシングの光学系となる単一マルチモードファイバ(MMF)内視鏡分光システムを構築する。空間光変調器を用いて位相変調したレーザ光をMMFに入射し、出射端付近に回折限界サイズのレーザスポットを形成して走査する。このスポットをダイヤモンド粒子に当て、フォトルミネッセンスを同じMMFを通して分光する。方形コアMMFを用いたスポット光強度空間一様性の向上、スポット形成と走査のアルゴリズム高速化、分光器の高感度化を行い、予備実験で構築したシステムからの高性能化を図る。 亀井・飯田はヒトiPS細胞由来の小腸・肝臓オルガノイドを作成し,小腸オルガノイドの培養液中に脂肪酸を添加することで小腸による脂肪酸吸収機構を再現し,肝臓オルガノイドへの脂肪酸蓄積過程と疾患化を再現する疾患モデルを構築し、熱エネルギー代謝の可視化により肝臓と脂肪の相互作用機構を解明する。2年目は、より生体内に近い構造を持つ肝臓と小腸のオルガノイドをBoCに導入し、それぞれについて単独培養/共培養の違いと高濃度脂肪添加の有無という2つの比較軸で,メタボリックシンドローム発症機構に関わる遺伝子発現変動をRNA-seqやsingle cell RNA-seqにより解析する。
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