2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23H00288
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
栄長 泰明 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (00322066)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 一弥 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (70514115)
山本 崇史 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (40532908)
畑中 美穂 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (80616011)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ダイヤモンド電極 / 電気化学 / 電解合成 / 物質変換 / 活性化学種 |
Outline of Annual Research Achievements |
ダイヤモンド電極上では、通常電極と異なり、活性化学種を効率的に発生することができる。すなわち、この活性種により高い反応性 (酸化/還元力) を示すことが期待される。したがって、このような活性化学種を有機電解合成におけるメディエーターとして活用することによって、従来研究の延長線上では困難な「不活性な化合物の直接的分子変換の実現」が期待できる。このことを利用して、本年度は、ダイヤモンド電極を用いた特異な反応を目指し、新規反応開拓、新規物質合成につなげることを目標としていくつかの成果を挙げた。はじめに、モリブデン触媒による窒素還元が報告されていることを利用し、モリブデンを電気化学的に修飾したダイヤモンド電極を作製した。この複合電極では、ダイヤモンド電極の耐久性を維持しつつ触媒能が付与されている。この電極を用いることにより、窒素還元でアンモニアを生成することに成功した。さらに、「不活性な化合物の直接的分子変換の実現」を目指し、反応系をフロー系としたリアクターを設計した。バッチ法と比べて、反応効率の向上などが期待できる。このフローリアクターを用いて、クメンの酸化反応を行ったところ、バッチ法より効率的に起こすことに成功した。そのほか、ダイヤモンド電極を用いた炭素-炭素結合開裂反応による有用物質創製のための実験系を構築した。実際に糖を電解により分解することができた。このことにより、ダイヤモンド電極界面での、糖の電解に関する基礎的な知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、ダイヤモンド電極上で発生することができる活性化学種を有機電解合成におけるメディエーターとして活用することによって、従来研究の延長線上では困難な「不活性な化合物の直接的分子変換の実現」を目指した。その結果、実際に、炭素-炭素結合開裂によって、実際の有用物質生成を実証する実験系の構築に成果を挙げた。さらに、その他の直接的分子変換系の構築として、窒素からのアンモニア生成や、クメンの酸化反応など、具体的な物質変換例を示すことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度の成果をふまえ、ダイヤモンド電極の特異性である「高効率で活性化学種を生成できる」ことをより積極的に利用した戦略的な新反応、新物質創製を目指す。 本年度に構築した炭素-炭素結合開裂反応による有用物質創製系をさらに発展させ、実際に新反応、新物質創製を目指す新しい系を構築する。
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