2023 Fiscal Year Annual Research Report
Development of innovative multimetallic active site by combining multi-element and ordered structure
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23H00308
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
古川 森也 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (10634983)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 合金 / 触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度においては、HEI材料を基盤とした新規触媒設計を元に、CO2によるプロパン酸化脱水素を対象に高効率な触媒の開発を行った。具体的な材料設計としては、母体となる金属間化合物として、アルカン脱水素に高い活性と選択性を示し、かつΔHfが負に大きいPtSn(ΔHf = -74 kJ/mol)を用いた。ここでPtはC-H結合の活性化に有効であり、不活性なSnはPt-Pt配位数を減少させることで副反応(C-C開裂)を抑制し選択性を高めている。一方でPtSnはCO2活性化には有効でないため、CO2活性化能の高いCoとNiをPtサイトに導入した。またこれによりPt-PtサイトがCo/Niでさらに希釈されPtは合金中で孤立化し、脱水素選択性もより高くなる。一方Snサイトには同じく不活性な典型金属であるInとGaを導入し、エントロピー効果を高めた。この様にして多元素化した(PtCoNi)(SnInGa)/CeO2触媒を調製し、CO2によるプロパン酸化脱水素にて触媒性能を評価した結果、600℃という厳しい条件下においても高い活性、選択性、耐久性を示すことが判明した。この条件では先行触媒である3元系のPt-Co-In/CeO2触媒では急激な性能劣化が見られており、触媒の熱的耐久性が低いことも分かった。これらのことから、多元素化により実際に耐久性が劇的に向上することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度においては、計画通りCO2によるプロパン酸化脱水素にて6元系の新規合金触媒の設計、調製、性能評価を行うことで、当初の設計指針が妥当であることを示すことができた。これは進捗状況としては順調に進展していると判断できるものである。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、優れた触媒の設計に不可欠な「合金の多元素化」と「秩序構造の構築」という一見相反する二つの要素を、ハイエントロピー金属間化合物という新たな合金材料の構築により両立させ、これらを達成することを目指している。既に(1)CO2によるプロパンの酸化脱水素については検討がほぼ完了したため、今後はCO2を用いた分子変換に関して新たな系への挑戦を進める。具体的にはCO2水素化によるエタノールの製造に着手する。本反応にはCO2の活性化に加え、C-H、C-O、O-Hという三種類の結合を形成させなければならないため難易度と挑戦性が高い。一方でこれらの多機能性の確保には多元素合金反応場の形成が適しているため、本アプローチの有望性も高い。また触媒開発だけでなく、HEIを形成可能な金属組成・条件について幅広く検討し、HEI物質ライブラリーとして構築することで新たな物質群の広がりとその学理を把握する。これら基礎と応用を両輪とした研究軸により、合金触媒化学のさらなる新境地を切り拓く。
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