2023 Fiscal Year Annual Research Report
Direct visualization of ABCA1-mediated HDL formation
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23H00326
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
植田 和光 京都大学, 高等研究院, 特定教授 (10151789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 泰久 京都大学, 農学研究科, 准教授 (10415143)
難波 啓一 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 特任教授(常勤) (30346142)
古寺 哲幸 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 教授 (30584635)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ABC蛋白質 / ABCA1 / コレステロール / HDL産生 / 高速AFM / クライオ電顕 / 構造生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で実施するABCA1のクライオ電子顕微鏡観察と高速AFM解析の成否は、蛋白質試料の品質にすべて依存する。そのため、ヒトABCA1蛋白質を細胞膜から機能を保持した状態で抽出・精製する条件の最適化を行った。ヒトABCA1をヒト培養細胞(FreeStyle 293細胞)に一過性発現させ、細胞膜から界面活性剤を用いて抽出し、C末端に付加したFLAGタグを利用したアフィニティー精製とゲル濾過により高純度に精製した。精製試料の品質をATP加水分解活性測定と電子顕微鏡ネガティブ染色により評価し、それらの結果をフィードバックすることで各段階の精製条件の最適化を行った。 次に、脂質二重層に埋まった生理状態に近いABCA1試料を調製するため、精製ABCA1を、通常膜蛋白質の再構成に用いられる膜スキャフォールド蛋白質(MSP)の2倍の長さのもの(MSP2N1)を利用し、コレステロールやリン脂質を600から700分子含む大きなナノディスク(直径約15 nm)に再構成した。再構成したナノディスク試料をゲル濾過を用いてさらに細かく分画し、1分子のABCA1が再構成されたナノディスクを分離・精製を行った。 上記の方法でナノディスクに再構成したABCA1試料の高速AFM観察を行った。その結果、直径約15 nmの大きなナノディスクに埋まった1分子のABCA1が、各ドメインが判別できる解像度で可視化でき、細胞外ドメインがフレキシブルに動く様子が観察された。さらに、ナノディスクに再構成した1分子のABCA1にATPを加えてリアルタイム観察を行った結果、時間経過に伴いナノディスクが徐々に収縮していくと同時に、細胞外ドメインは肥大化する変化を観察することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナノディスクに再興したABCA1を高速AFMを用いて観察することで、ABCA1によて新生HDLが形成される各段階の可視化に成功した。さらに、各段階の詳細な構造をクライオ電顕を用いて解明することによって、本研究の目的であるABCA1によるHDL産生過程の可視化が達成できると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
HDL産生過程の各段階のABCA1の詳細な構造をクライオEMを用いて観察する最適条件を確立する。それによって、HDL産生過程各段階のABCA1の詳細な構造を明らかにし、ABCA1によるHDL産生メカニズムを解明する。
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