2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23H00333
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
佐藤 和広 岡山大学, 資源植物科学研究所, 教授 (60215770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 信吾 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 作物研究部門, 主席研究員 (20343965)
安倍 史高 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 作物研究部門, 主任研究員 (30370547)
久野 裕 岡山大学, 資源植物科学研究所, 准教授 (70415454)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 種子休眠 / 穂発芽 / 遺伝解析 / ゲノム編集 / 分子育種 / ゲノム多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)ゲノム編集個体の作成:ゲノム編集の標的配列を効率的に取得するため、コムギ品種「Fielder」の短鎖および長鎖のRNA解析を実施し、ゲノム配列にマップして正確な遺伝子配列を得た。コムギにおけるQsd2の新規変異作出のため、「Fielder」のゲノム配列情報と発現遺伝子配列情報より3つのサブゲノムのQsd2配列を確定し、各サブゲノムのQsd2のみを標的とするgRNA配列を設計してゲノム編集用のコンストラクトを作成し、コムギへの形質転換に着手した。コムギの種子休眠性遺伝子Mother of FT and TFL1 (MFT)のオオムギホモログを標的としたアグロバクテリウム法によるゲノム編集を実施した。101個体のオオムギ変異導入個体(T0)が得られ、その中から変異が多様になるように20個体を選抜してT1種子を得た。 2)実用品種への変異導入:遺伝子配列の変異と種子休眠の関連を知るため、高精度ゲノム解読されたコムギおよびオオムギ品種の種子休眠遺伝子数と休眠性程度を確認した。ゲノム編集で作成した、コムギおよびオオムギの変異について、コムギ品種「Fielder」および「きたほなみ」、オオムギ品種「Adorra」、「はるな二条」および「Golden Promise」について化学変異原およびイオンビームによる変異処理を行い、変異集団を取得した。 3)遺伝子相互作用解析:Qsd1以外の種子休眠QTLを探索するために、A, B, Dの各ゲノム上のQsd1遺伝子すべてをゲノム編集によって破壊した「Fielder(abd)」と「タマイズミR(abd)」を交配、作出したF2集団からゲノムDNAを抽出し、コムギ90kSNPアレイを用いて8万か所の一塩基多型情報を取得した。実用的な種子休眠性の評価のため、コムギで作出したゲノム編集系統の野外栽培の形質評価を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画のうち、1)ゲノム編集個体の作成、2)実用品種への変異導入とも計画通りに進展している。3)遺伝子相互作用解析についてはゲノム編集のオフターゲット解析のプログラム整備は次年度以降に予定している以外は順調に進展している。全体としておおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画書に記載した通りの項目について着実に実施し成果を得る予定である。本年度研究代表者および研究分担者が中心となって開催した2つの国際学会において、国際共同研究を実施している相手機関の担当者と密接に打合せすることができ、材料の交換や共同研究のさらなる進展が期待される。本研究課題の前に実施した基盤研究(A)の課題から継続しているパンジェノムおよびパントランスクリプトームの論文は現在投稿中で、次年度内の出版を予定しており、トップジャーナルへの掲載が期待される。
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