2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23H00340
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奈良 一秀 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (60270899)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 政穂 秋田県農林水産部(農業試験場、果樹試験場、畜産試験場、水産振興センター及び林業研究研修センター), 林業研究研修センター, 主任研究員 (20582381)
松田 陽介 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (30324552)
金谷 整一 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (90353648)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 菌根菌 / 保全遺伝学 |
Outline of Annual Research Achievements |
菌類の有性繁殖の成否を決定する交配型遺伝子に着目し、絶滅危惧菌種の交配型遺伝子の集団遺伝解析に必要な準備を行なった。まず、IUCNのレッドリストにおいて菌類の絶滅危惧種に指定されているトガサワラショウロとヤクタネショウロのドラフトゲノム配列を次世代シーケンサー解析により取得した。菌類の交配型決定遺伝子としてデータベースに登録されている配列情報をもとにドラフトゲノム中に近縁な配列を探索し、その領域を特異的に増幅するPCRプライマーを複数設計した。先行プロジェクトで取得済みの菌根や子実体から抽出したDNAテンプレートを用いて、プライマーの検証と選抜を行った。さらにヤクタネショウロについては交配型遺伝子の予備的な集団解析を行なった。その結果、設計したプライマーは交配型遺伝子の全域を増幅できていないこと、また一部の個体では設計したプライマーで交配型遺伝子が増幅されていないことなどが判明した。今後は交配型遺伝子を効率的に増幅するためのプライマーを再設計して、集団遺伝解析を行う予定である。トガサワラショウロについては次年度以降に交配型遺伝子の集団遺伝解析を行うための、DNA抽出サンプルを準備した。 対象菌種の交配実験材料を得るために子実体の発生実験を行なった。具体的には先行プロジェクトで得られているヤクタネショウロ共生樹木苗の育苗を継続しているものの、いまだに子実体の発生には至っていない。菌根菌の子実体発生には時間が必要なため、今後はさらに大型の鉢で育苗を継続する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
若干の再解析を必要とするものの、概ね当初の計画通りに研究を進められており、順調であると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究目的を達成するため、今後も当初の研究計画にそって解析を進める。再解析が必要な部分についても、より正確性の高いデータを取得するためであり特に大きな技術的問題もないと考えている。
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