2023 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of digital genome mapping method and its application to de novo genome analysis
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23H00342
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浅川 修一 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (30231872)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒河内 寛之 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 協力研究員 (00609000)
稲野 俊直 近畿大学, 水産研究所, 准教授 (50604609)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | ハプロイド連鎖解析 / ハイブリッド連鎖解析 / デジタルマッピング / ラディエーションハイブリッド法 / チョウザメ / アユ / スマ・クロマグロ / マツタケ |
Outline of Annual Research Achievements |
1 稻野らが作製したアユのハプロイドゲノムをもつ発生卵/仔魚366個体からDNAを調製した。そのうち191個体、および親個体(母親1個体)、計192個体のDNAライブラリーを構築し、シーケンシングを行った結果、合計195.35 Gbの塩基配列データを得た。現在そのマッピング、SNPタイピングを進めている。 2 ハンガリーの共同研究者よりロシアチョウザメのメス3尾の卵とアメリカンパドルフィッシュのオス3尾の精子を受精させて得られた雑種魚を提供された。これら計144個体のシーケンシングを行った結果、123個体からのべ248Gbの十分なリードが得られた。またナノポアシーケンサーによってロングリードシーケンシングを行い、親個体のゲノムアセンブルを進めている。また稻野らによってコチョウザメの雌性発生2倍体、半数体が作出された。 3 クロマグロとスマの雑種個体を用いた連鎖地図作製に関して、雌側のスマについてその連鎖地図を活用したゲノム解析データは報告済みであるが、雄側のクロマグロに関して解析は解析途中であったためその連鎖地図構築を進めた。 4 マツタケゲノム解析プロジェクトに参画し、マツタケのT2Tの構築に貢献した。またアコヤガイの白色貝原因遺伝子探索において、連鎖解析により遺伝子座の領域を特定し、有力な白色原因遺伝子を得た。 5 デジタルマッピングについては、まず手法の確立を目指した。そのターゲットとして、その体内で多量のフグ毒を産生するがドラフトゲノムが存在しないオオツノヒラムシ、ドラフトゲノムシーケンスが存在するオキゴンドウイルカを選抜した。各種条件検討の結果、原理的には問題がなく行えることが分かった。オオツノヒラムシについては自らドラフトゲノムを構築するとともに、BACライブラリー構築に用いた長鎖DNA精製法を活用し、ナノポアによって長い連続配列を得ることができる感触を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のようの本研究は着実に進んでおり、直面した問題点も把握できている。今後も本研究を着実に推進できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
デジタルマッピングの実験条件を検討、シーケンシングを行ってそのデータをマッピングした結果、ひとつ予想外の結果が得られ、その部分を解決する必要があることが分かった。それは50kb以上のDNA断片を精製してゲノム増幅を行い、シーケンシングを行って得られたデータをドラフトゲノムにマッピングしたところ、予想では50kb以上の領域を連続的にカバーするようなマッピング結果が得られると考えていたが、実際には10kb以下の領域にしか連続してマップされていないことが分かった。 これらの結果は、オオツノヒラムシ、オキゴンドウイルカのどちらにおいても共通して見られたことから、今回検討した手法では、50kb以上の断片を精製しているにも関わらず、そのうちの10kb程度の配列部分しか選択的に増幅されない何らかの理由があるものと考えられた。そこで今年度は、その理由を解明し、導入した長鎖DNAがなるべく均等に増幅される手法を検討したいと考えている。 またBACライブラリ構築で活用した長鎖DNAのNanoporeシーケンシングにおいては、確かに短いDNA断片のリードは格段に減っているものの、長いDNAのリードのクオリティが低く有効なデータとして使えるものは少ないことが分かった。この理由がなんであるかは分かっていないが、オオツノヒラムシのDNAが修飾されていることや、タンパク質などが強固に結合していることなどが可能性として考えられる。そこで今年度はDNAのソースを変えて、まずは長鎖DNA解読の有効な手法として確立することを目指したいと考えている。
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