2023 Fiscal Year Annual Research Report
魚類生殖幹細胞の予見的同定:魚類生殖細胞操作技術の高効率化を目指して
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23H00344
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
吉崎 悟朗 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (70281003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 誠 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (50714838)
矢澤 良輔 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (70625863)
市田 健介 東京海洋大学, 学術研究院, 助教 (70882637)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 生殖幹細胞 / ニジマス |
Outline of Annual Research Achievements |
卵や精子のおおもとになる生殖幹細胞が自己複製を繰り返すことで、魚類では個体の生涯を通じて大量の卵や精子を生産することができる。我々は、ニジマスをモデルに生殖細胞移植系を駆使することで、生殖幹細胞の存在を、移植実験後により特定することに成功している。しかし、移植前に予見的に生殖幹細胞を特定することはできないのが現状である。そこで、魚類の生殖幹細胞を予見的に特定するための分子マーカーを単理することを目的に研究を進めている。我々はこれまでの研究から、オスの生殖幹細胞(精原幹細胞)は、A型精原細胞集団中の一部をなす亜集団であることを明らかにしてきた。そこで、A型精原細胞集団中に存在する亜集団を特定するために、I) 単一細胞トランスクリプトーム解析による網羅的遺伝子発現解析と、II) 他の動物種で精原幹細胞マーカーとして知られるnanos2遺伝子に着目した遺伝子導入魚(nanos2-GFP)の解析を行ってきた。I) 単一細胞トランスクリプトーム解析においては、未成熟期のニジマスにおいて、精原幹細胞を含むA型精原細胞を5000細胞単離し、10xGaenomics社のChromiumを用いてsingle cell transcriptome解析を行った。得られたデータをin silico解析に供することで、A型精原細胞は遺伝子発現レベルにおいて5つの亜集団(cluster)に分かれることが明らかになった。現在、各clusterを特徴づける遺伝子について、in situ hybridization法により発現解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時に提案した以下の項目を順調に遂行したため。 ①A型精原細胞のGFPを指標にしたフローサイトメトリーによる分取 ②各細胞をDrop-seq法に供し、ランダムに回収した1万の個々の細胞ごとの発現遺伝子を網羅的に(3万リード/細胞)同定 ③②で得られた各細胞の発現遺伝子情報を用いた多変量解析より、A型精原細胞を亜集団にグルーピング
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Strategy for Future Research Activity |
上述の各亜集団を特徴づける特異的なマーカー遺伝子を特定する。これらの遺伝子の発現は、in situ hybridizationや定量PCRによりダブルチェックする。さらに、得られたマーカー遺伝子の発現制御配列を適切にGFP遺伝子と連結することで発現ベクターを作成する。
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