2024 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Nanostructured Scaffolds for Stem Cell Culture to Directly Regulate Cellular Functions via Natural Polysaccharide Nanofibers
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23H00345
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| Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
北岡 卓也 九州大学, 農学研究院, 教授 (90304766)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一瀬 博文 九州大学, 農学研究院, 准教授 (00432948)
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| Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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| Keywords | セルロースナノファイバー / キチンナノファイバー / 表面官能基化 / 幹細胞制御培養 / ゼノフリー培養 / 免疫応答制御 / 医用モダリティ / 細胞・組織工学 |
| Outline of Annual Research Achievements |
森と海の天然多糖ナノファイバーのナノ構造に着目した「幹細胞制御培養基材」の開発研究を実施した。研究二年目の本年度は、以下の重要な成果を得た。 (1)表面カルボキシ化セルロースナノファイバー(CNF)および表面硫酸化CNFを用いた基材において、初代ヒト間葉系幹細胞(hMSC)の制御培養に成功した。細胞生育には明確な硫酸基量依存性があり、初期接着に重要な接着班の形成促進や成長因子の安定化など、多くの知見が得られた。初代hMSCの動物由来成分完全不含(ゼノフリー)培養に向け、極めて重要な知見が得られた。 (2)脱アセチル化度の異なるキトサンナノファイバー(CtNF)を用いて、ヒト単球細胞およびマクロファージに働きかける機能について、基材とエマルションの両形態で検討した。トール様受容体(TLR)の直接活性化が基材表面のアセチル基量依存的であることが明らかとなり、ピッカリングエマルション形態においては、細胞への取り込みと炎症性サイトカイン産生型のプログラム細胞死であるパイロトーシスが観察された。ワクチンやがん免疫療法に有用な免疫アジュバントの開発に向け、極めて重要な知見が得られた。 (3)ヒト歯髄幹細胞(hDPSC)を用いて、表面リン酸化CNF、表面硫酸化CNFおよび表面硫酸化CtNFを用いて検討した。hDPSCについても、表面リン酸基量依存的な細胞接着・増殖挙動を確認し、分化誘導培地を用いない硬組織分化の可能性が示唆された。また、表面硫酸化CtNFによるスフェロイド形成とサイズ制御、その後の神経分化誘導に表面硫酸化CNFが有効であることを見出した。 以上、天然多糖ナノファイバーの表面官能基制御により、ヒト幹細胞の完全ゼノフリー培養、免疫細胞の免疫応答制御、目的細胞への分化誘導を達成し、ナノ多糖が細胞機能に直接働きかける幹細胞制御培養基材の開発に向けた多くの研究成果と今後の設計指針を得た。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
林産・海産物由来の天然多糖ナノファイバーを表面官能基化することで生体ECMを模倣するコンセプトが、種々のヒト幹細胞で実証され、明確な官能基量依存性が認められたことは極めて重要な成果である。さらに、固体の多糖ナノファイバーが免疫細胞と直接接触することで、細胞表面のTLR2レセプターに認識されて免疫応答が惹起されることや、これについても同様に基材表面の官能基量依存性が認められたことから、当該現象については相当程度の一般性が期待される。本年度の成果により、天然多糖ナノファイバーを生体ECM模倣医用モダリティとして機能設計する本課題の戦略の有用性に確証を得た。研究成果はいずれも一流誌に掲載され、新聞・医薬系雑誌・ウェブサイトなど多くのメディアで取り上げられた。以上の結果は、天然構造多糖のバイオメディカルマテリアル研究に大きく貢献する研究成果であることから、当初の計画以上に進展していると判断した。
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| Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で多糖ナノファイバーによる幹細胞の制御培養に一定の目途がたったが、もう一つの重要課題であるゼノフリー条件での幹細胞の未分化大量培養は検討が十分ではなかった。実際、初代ヒト幹細胞については培養は可能であるものの増殖が十分ではなく、その後の分析を困難にしている。そこで、次年度はヒト幹細胞をゲル包含することで、未分化維持と増殖性をあわせ持つ培養形態の可能性について追究する。歯髄幹細胞については、スフェロイド形成からの神経様の形態変化を認めているものの、神経機能は不明であり、検討が必要である。また、ピッカリングエマルションにすることでパイロトーシスを誘導する現象自体は多数観察しているものの、そのメカニズムについては不明であり、免疫アジュバントとしての機能開発に向けた知見の蓄積が必要である。今後はこれらについてさらに検討を深め、多糖ナノファイバーが主役の新規医用モダリティを農学分野から発信する。
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