2023 Fiscal Year Annual Research Report
G4RNA相分離による神経機能制御メカニズムの解明
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23H00373
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
塩田 倫史 熊本大学, 発生医学研究所, 教授 (00374950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢吹 悌 熊本大学, 発生医学研究所, 准教授 (70756121)
松尾 和哉 熊本大学, 発生医学研究所, 特別研究員(PD) (10912371)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | グアニン四重鎖 / 神経機能 / mRNA / ストレス顆粒 |
Outline of Annual Research Achievements |
DNA・RNA高次構造には多様性がある。DNAの基本的な構造は「B型DNA」と呼ばれている右巻き二重らせんであるが、それ以外にも左巻き(Z型)、三重鎖(H型)、ヘアピン型など「非B型DNA・RNA」が報告されており、配列の特徴や溶媒の環境により多様な構造を形成する。非B型のひとつであるグアニン四重鎖(G4; G-quadruplex)は、グアニンが豊富な一本鎖のDNAやRNAにおいてG4DNAおよびG4RNAを形成する。G4は、物理学的に高い熱安定性やゲノム上の領域特性を有することから生体内での機能に注目が集まっている。例えば、G4DNAはテロメア・有糸分裂および減数分裂の二本鎖切断部位・転写開始部位・複製起点において形成されること、G4RNAはRNAスプライシング・RNA輸送・mRNA翻訳などRNA代謝の多くの段階に関与することが示唆されている。しかしながら、G4の生物学的機能に関するエビデンスは極めて少なく、未解明な点が多い。本年度は、G4RNAの相分離を介した神経変性に着目した。結果として、アルツハイマー病やシヌクレイノパチー等の孤発性神経変性疾患を引き起こすプリオノイドタンパク質であるαシヌクレインやタウがG4RNAによりゾル-ゲル相転移することを発見し、「G4プリオノイド」を提唱した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたシヌクレイノパチーだけでなく、タウオパチーにもG4RNAによるゾル-ゲル相転移が関与することを今年度見出すことができ、大きな進展があった。
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Strategy for Future Research Activity |
G4RNAによるαシヌクレインのゾル-ゲル相転移に関しては、in vitro, in vivoで実証済みあるが、タウオパチーに関してはin vitroのみの結果である。したがって、in vivoでのG4RNAによるタウのゾル-ゲル相転移の研究を今後推進する。
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