2023 Fiscal Year Annual Research Report
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23H00388
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松崎 政紀 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (50353438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井澤 淳 筑波大学, システム情報系, 准教授 (20582349)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 運動適応 / 大脳皮質 / カルシウムイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
運動適応は、ヒトを含め多くの動物にとって短時間に環境に正しく働きかけるための必須の能力である。ヒトやサルに比べて、マウスなどげっ歯類では運動適応実験を行うことは技術的に困難で、運動適応を実現する全脳レベルの活動を単一細胞レベルから明らかにできていない。そこで本研究では、頭部固定マウスにおいてヒトの運動適応に模した課題を構築し、この課題を実行中のマウスの運動野を含む大脳皮質全域の細胞活動をカルシウムイメージングで計測する。運動適応時の運動指令信号の修正などが、どのように全脳レベル、また各脳領域レベルで表現されているのかを強化学習モデルも組み込みながら解明することを目的とする。本年度は、新規のマウス用前肢運動適応課題装置やマウス保定部位などをさらに改良して訓練を行うことで、マウスがいくつかの異なった戦略で運動適応する可能性を見出した。一次運動野、線条体、小脳、視床が互いにどのように運動適応に貢献しているかを光遺伝学的手法を用いて調べたところ、一次運動野と線条体の相互作用が非常に重要であることがわかった。一次運動野-大脳基底核-視床-一次運動野のループ経路における信号伝播を光遺伝学とイメージングを組み合わせることで検出することを可能とし、この伝播様式を解析している。また運動タイミングの適応において、小脳からの入力を受ける視床からの皮質投射軸索をイメージングすることで、この軸索活動が重要である可能性を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規のマウス用前肢運動適応課題装置でさまざまな運動適応をマウスが行えることが判明してきた。また運動適応に関わる各領域の重要性とその相互作用、また運動タイミング適応における神経活動などがあきらかになりつつあるため、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
新規のマウス用前肢運動適応課題実行中での大脳皮質活動の計測と解析を行うとともに、運動適応に関わる各領域の関係性と領域間の信号伝播様式をより詳細に調べる予定である。
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