2023 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of temporal alteration in motor neuron-oligodendrocyte interaction in motor neuron diseases
Project/Area Number |
23H00420
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
勝野 雅央 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (50402566)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐橋 健太郎 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (90710103)
飯田 円 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (40815437)
蛭薙 智紀 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (00927527)
井口 洋平 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (80790659)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 神経変性疾患 / 球脊髄性筋萎縮症 / 早期病態 / 転写障害 / 運動ニューロン / オリゴデンドロサイト / イオンチャンネル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、運動ニューロン疾患における最初期病態が晩発性の運動ニューロン変性病態にどうつながるのかを解明すべく、①マルチモーダル解析によるニューロン・オリゴデンドロサイト連関異常の解明、②時間的シングルセル解析による病態における連続性の解明、③超早期介入による神経変性の抑止の検証、を軸として研究を進めることである。本年度はとくに球脊髄性筋萎縮症(SBMA)マウスモデル(AR-97Q)脊髄のシングルセル解析(snRNA-seq)の結果から、発症前から進行期に至るオリゴデンドロサイト-ニューロンのクロストーク異常に焦点を当てて解析を進めた。発症前、発症前後、初期、進行期という異なる病期のAR-97Qマウスと野生型マウスのスナップ凍結脊髄から核を単離した。snRNA-seq後、Rソフトウェアを用いてデータセットを解析した。snRNA-seqの結果を検証するために、Oli-neuマウスオリゴデンドログリア前駆細胞株を用いた。全ての細胞型の中で、オリゴデンドロサイト(OL)は発症前に最も多くの異なる発現遺伝子を有していた。OLクラスターの解析から、発症前に陽イオンチャネルとシナプス機能が活性化し、AR-97Qマウスでは野生型マウスに比べてOLからニューロンへの出力が増加していることが示唆された。初期段階におけるこれらの変化は、進行すると逆転した。SBMAのOL細胞モデルでは、シナプス組織における転写変化の増加など、初期段階でAR-97Qマウスと同様の表現型を示した。これらの結果は、OLが関与する細胞間情報伝達の調節不全がSBMAの初期病態に大きな影響を及ぼし、SBMAの治療標的となりうることを示している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
snRNA-seqにより、AR-97Qマウスでは発症前にオリゴデンドロサイトで陽イオンチャネルとシナプス機能が活性化し、オリゴデンドロサイトからニューロンへの出力が増加していることが示されたのみならず、こうした初期変化がむしろ進行すると逆転するという新しい知見を得た。さらにSBMAのオリゴデンドロサイトモデルを作製し、シナプス組織における転写変化の増加など、初期段階でAR-97Qマウスと同様の表現型を検証できた。以上から、当初の予定より順調に推移していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後、オリゴデンドロサイトからの入力が増強することでニューロンの過活動が誘発されるか否かを、オリゴデンドロサイト・ニューロンの初代共培養系で検証する。また、筋萎縮性側索硬化症(ALS)については、研究者らはこれまでにマウス大脳皮質ニューロン特異的にTDP-43の発現を抑制するとCNPaseなどのオリゴデンドロサイト系列に発現する分子の発現が低下することを見出している。本研究では、TDP-43発現抑制のタイミングを変えることでこの現象がどのように変化するかを解析する。TDP-43発現を抑制したマウスの行動解析を行うとともに、ニューロン・オリゴデンドロサイトの連関に関わる鍵分子としてこれまでに同定したNrxn1をAAVで海馬に導入した際のミエリン形成に関する病理学的検討と行動解析を行う。
|