2023 Fiscal Year Annual Research Report
Study of nuclear receptors and repeat sequences to reveal the basis of prenatal neurological effects of environmental chemicals
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23H00521
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| Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松島 綾美 九州大学, 理学研究院, 教授 (60404050)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WONG W・R 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 教授 (30464035)
伊藤 武彦 東京工業大学, 生命理工学院, 教授 (90501106)
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| Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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| Keywords | 蛋白質 / 発現制御 / 生体分子 / 生理活性 / 核内受容体 / 人体有害物質 / 内分泌撹乱物質 / 受容体化学 |
| Outline of Annual Research Achievements |
食品容器などのプラスチック原料であるビスフェノールAは、胎児期における極微量の暴露での生殖系のみならず脳神経系への悪影響が知られる有害環境化学物質である。こうした化学物質の胎児期に起因する神経系影響の機構解明は、ヒト健康・安全のために必須緊要な課題である。申請者らは、最近、染色体内部に存在するリピート配列に女性ホルモン・エストロゲン受容体が応答し転写活性を発揮するという新発見をした。一方で近年、リピート病として知られる脳神経疾患には、ノンコーディング領域のリピート数異常に起因することが続々と報告されることに着目した。これらより「リピートに複数の核内受容体が結合し、協働して転写制御するために、化学物質暴露により複雑で多種多様な神経影響が生じる」という着想を得た。本課題研究では、最新のゲノム解析技術と原子間力顕微鏡を用いた構造解析を統合して、化学物質暴露による脳神経影響の分子基盤を解明する。 初年度の本年度は、まず、リピート数の効果について解析した。リピート塩基配列が1回から数十回まで網羅的したレポーター遺伝子を構築し、 エストロゲン受容体の転写活性を精査した。通常の活性試験系では、受容体が結合するホルモン応答配列(HRE)が3回繰り返された3xHREを用いる。しかし、本リピート配列では、繰り返し数が多いほど、転写活性への影響が大きいことが判明した。次に、脳神経系の分化発生が盛んな胎生13.5日齢のマウス胎仔脳を摘出し、これに対してATAC-seqを実施した。さらに、化学物質を暴露した、マウス胎仔脳のRNA-seq解析を実施した。その結果、神経系の遺伝子の発現が変動するという大変興味深い結果が得られた。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の基盤となるリピート数の効果に関する解析ができ、仮設を裏付けるデータが蓄積しているため。
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| Strategy for Future Research Activity |
4年計画の初年度である本年度は、文部科学省科学研究費助成事業の学術変革領域研究「学術研究支援基盤形成」先進ゲノム支援による援助のおかげで、ATAC-seqの詳細な解析を実施することができ、興味深い様々なデータを取得することができた。今後、得られたデータ解析に基づき、これまでに取得したChIP-seqデータおよび公共データベース上のデータとの比較解析を行い、リピート配列との関係を明らかにする。さらに、核内受容体は天然変性領域(Intrinsically Disordered Region, IDR)が存在するが、こうした配列と塩基が相互作用する可能性があることから、通常の大腸菌では発現しない、完全長のエストロゲン受容体の発現を昆虫培養細胞系や無細胞発現系で行う。こうして、環境化学物質による胎児期脳神経系影響の発現メカニズムを解明する。
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