2023 Fiscal Year Annual Research Report
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23H00522
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
掛山 正心 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (30353535)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前川 文彦 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク・健康領域, 主幹研究員 (40382866)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 環境中化学物質 / 環境リスク / 健康リスク評価 / 脳 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究チームではこれまでに、様々な物質の毒性試験を実施し、これまでに、ダイオキシン胎仔期曝露マウスが行動と脳活動の双方で自閉スペクトラム症(ASD)様の症状を示すことを見出した。その後も、ダイオキシンやヒ素、ビスフェノールAの発達期曝露が行動表現型と神経微細形態の双方で認知症様の症状を示すことを報告してきた。化学物質の曝露がASDや認知症など「こころ」の疾患の発症や重症化の要因となるのか、さらに捉えにくい僅かな「こころ」の歪みや疾患前段階の問題に関わる可能性を踏まえ、「こころ」の問題を毒性試験として取り扱うことを目指した。異なる試験機関での再現性を検証することで最小限の動物数、労力で信頼性の高い識見結果を得るための整備を進めた。対象化学物質については、影響を見逃さず、未然に防ぐことが毒性試験の使命であるという観点から検討を行い、3物質に絞り込み、その影響検証のためのマーモセットとマウスの同一プラットフォーム行動テストの整備を進めたまた、仔動物の発達段階に応じて行動毒性試験を進めた。新たなテストを用い、他個体識別能力や認知能力を評価する行動テストを開発した。塩素化ダイオキシンと臭素化ダイオキシンの毒性比較も行いながら毒性試験を行った。新たな行動テストにおいて、極めて低用量の胎仔期ダイオキシン曝露によって、仔動物が成熟後に示す他個体識別・認知能力に影響を及ぼす可能性を見いだした。この影響について、詳細な定量解析を進めることとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
半導体不足によるデバイスの入手遅延があるが、想定の範囲内であり、計画全体に大きな変更はなく、順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り推進する。
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