2023 Fiscal Year Final Research Report
江戸時代の奥羽における獣害の対策と獣肉の利用に関する地域教材の開発
Project/Area Number |
23H04991
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
1130:History, archaeology, museology, and related fields
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Research Institution | 宮城県利府高等学校 |
Principal Investigator |
murakami kazuma 宮城県利府高等学校, 宮城県高等学校教諭
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 狩猟(駆除) / 猟師(マタギ) / 獣害(害獣) / 利用 / 奥羽諸藩 |
Outline of Final Research Achievements |
奥羽諸藩の藩日記から、猟師(マタギ)が熊を、百姓が雉子を捕獲し、それを藩側が買い上げた記録を収集した。他方で、害獣とされた狼や猪は猟師や足軽が駆除し、廃棄していた。このように利用価値の有無によって捕獲者は分けられていた。 現代の猟師のフィールド調査も行い、熊狩りを参与観察も行ったところ、発見した熊の過半は捕獲に失敗し、生き延びていることが判明した。熊狩りは人を恐れない個体を捕獲するだけでなく、人を恐れる個体を維持、棲息させる機能が認められた。また、町側は熊狩りをする猟師に一定額の手当てを支給し、町民は熊肉を高値で買い上げるなど、官民を挙げて猟師を支援している面も認められた。
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Free Research Field |
近世奥羽の狩猟史
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Academic Significance and Societal Importance of the Research Achievements |
江戸時代の猟師は諸役が免除され、死傷した際には薬代や弔料を支給するなど、藩側から保護・補償されていた。こうした保護・補償は現在の自治体に未整備であり、江戸時代と対照することができる。また、熊狩りには人を避ける個体群を維持する機能が認められ、これを現代の生物多様性の維持に援用することが期待される。 以上の調査によって、江戸時代の狩猟のありようを再評価し、この研究によって得た知見を高等学校新科目「公共」における地域教材の開発に利用することが可能である。
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