2023 Fiscal Year Annual Research Report
中・高・大の連携を意識した「地理景観教材」の開発に関する実践的研究
Project/Area Number |
23H04994
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
番匠谷 省吾 広島大学, 附属福山中学校, 教諭
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 景観写真 / ドローン / 中高大連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.研究の目的と研究方法 本研究の目的は,中学校・高等学校の地理の授業において,地理的技能を高め,地理的事象についてより主体的に考察し,深い理解を促すための「景観」に関する教材に焦点をあて,学習者と授業者の視点を融合させた効果的な「地理景観教材」の開発を行うことである。「地理景観教材」のうち,「景観写真」を対象とした。自然地理と人文地理の内容からそれぞれ適切な事象を取り上げ,現地にて撮影を行った。具体的には,カルデラ湖(支笏湖),三日月湖(石狩川),大規模畑作(十勝平野),工業地帯(四日市コンビナート),風力発電(知多半島)である。撮影の際に,対象物との距離,高度,角度について様々な条件で撮影を行った。なお,上空からの撮影ではドローンを活用した。得られた写真を,中学生(115名),高校生(171名),大学生(27名)に見せ,どの写真がテーマに対して適当であるかアンケート調査を行った。 2.研究成果 5つの対象についてそれぞれ4,5枚の写真を提示し選択させた。写真の選択率をみると,自然地理の2つと大規模畑作では提示した写真の中で最も高度が高いところから全体を広角に撮影した写真が,工業地帯では高いところから工場を大きく映した写真が,風力発電では海が映り海岸線に立地している写真が高い選択率であった。次に,中学生,高校生,大学生間の比較を行った。その結果,5テーマ中4テーマでは大きな差異はみられなかったが,大規模畑作では校種による差がみられた。中学生はトラクターを大きく撮影したものを選ぶ生徒が全体の23%であるのに対し,高校生は4%,大学生は誰も選ばなかった。写真に関する自由記述では,自然地理では高い高度から全体を広角に写して欲しい,大規模畑作では大きさが比較出来るようなものを写真に入れて欲しい,風力発電は海が一緒に映っていることで立地が分かりやすかったという意見がみられた。
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