2023 Fiscal Year Annual Research Report
個人メタ認知トレーニングによる統合失調症者の自己効力感とストレス対処能力への影響
Project/Area Number |
23H05002
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Research Institution | 医療法人新淡路病院 |
Principal Investigator |
黒田 香苗 医療法人新淡路病院, 臨床心理士
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 統合失調症 / メタ認知トレーニング / 自己効力感 |
Outline of Annual Research Achievements |
統合失調症者の多くは、認知バイアスを含む様々な社会的認知障害を持つことが報告されている。このバイアスに対しアプローチするメタ認知トレーニング日本語版(Metacognitive Training:MCT-J)が行われており、これに対して、トレーナーと1対1で行われる個人用に開発されたMCT+がある。これは認知バイアスの変容や結論への飛躍など症状悪化につながりやすい思考に心理的介入を行うものである。個別に行うことで集団では介入が難しい者に対しても、本人の体調や環境に柔軟に介入できる利点がある。本研究課題では、問題となっている長期入院の解決に示唆を与えるべく、統合失調症者にMCT+を行うことで、認知バイアスや認知機能、自己効力感やストレス対処能力といった退院を阻む要因へアプローチし、退院を具体的に目指すための支援に関する研究を行った。MCT+実施の前後でPANSS(陽性・陰性症状評価尺度)、自己効力感、ストレス対処能力の評価を行った。今回の研究については、参加者2名の解析を行った。統合失調症の男性で入院中及び地域生活の施設に入居中の2名を対象とした。MCT+ではモジュール1~8,MCTで使われる追加モジュール9、10の全10回行った。第1モジュール開始前と、第10モジュール終了後にPANSSの陽性症状、地域生活に対する自己効力感尺度(SECL)、13項目7件法Sence Of Coherenceスケール日本語版を測定した。2名とも陽性症状の減少、自己効力感の得点の上昇が見られた。SOC得点については1名については上昇、1名については減少が見られたが、把握可能感においては2名とも得点の上昇が見られた。2名の参加者とも、MCT+において陽性症状、自己効力感への影響が見られた。今後さらに参加者を増やし、検討を続ける予定である。
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