2023 Fiscal Year Annual Research Report
少年院における「体育指導」カリキュラムに関する研究
Project/Area Number |
23H05023
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Research Institution | 北海道札幌稲穂高等支援学校 |
Principal Investigator |
矢幅 照幸 北海道札幌稲穂高等支援学校, 教員
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 少年院 / 体育指導 / カリキュラム フィットネス教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、少年院の矯正教育「体育指導」を対象として、文献・現地調査から実態を把握し、法務教官への聞き取り調査から成果と課題を導出し、「体育指導」カリキュラムを提案することであった。具体的な調査は、群馬県赤城少年院の協力を得て実施した。 現地調査の結果、対象とした少年院の体育指導では、義務教育学校の保健体育科の約1.4倍の時間数(在院期間約11箇月/276.6単位時間)が確保されていた。また、対象とした「体育指導」実践では、活動時間内の運動動従事時間が50%以上確保されており、義務教育学校と同程度確保されていることが明らかとなった。他方で、指導教官が在院者と一緒に運動に従事する時間の割合が高いことが特徴的であった。 在院者に対する体力測定等の結果、在院期間との相関が認められ、体育指導による体力面での効果が確認できた。しかし、巧緻性については個人差が顕著であった。この背景には、特別な支援を要する在院者の存在が示唆された。 法務教官に対する聞き取り調査の結果、体育指導を全ての指導の基盤として位置づけていることが窺い知れた。また、体育指導を通じて、集団の凝集性が高まり、精神力、規範意識、協調性が養われ、さらに、在院期間中における体力の向上が、在院者に自信をつける効果があるとの認識を有していた。 以上のことから、体育指導には、義務教育学校の保健体育科と同等程度の効果があることが確認できた。他方で、課題として、健康で安全な生活を営む能力を育成する必要があると判断された。そのため、体育指導では、座学による学習も必要である。この点について、本研究では、「フィットネス教育」理論に基づくカリキュラムの構築を検討した。このカリキュラム提案は、今後の単位認定化のガイドライン作成の一助となるだけでなく、退院後に健康的な自立した生活を送ることにつながると期待できる。
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Research Products
(4 results)