2023 Fiscal Year Annual Research Report
数学学習に固有な読解力の解明と育成に向けた実証的研究
Project/Area Number |
23H05053
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
石川 雅章 愛知教育大学, 教育学部, 助教
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 読解力 / 国語的読み / 数学的読み |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,一般的な読解力と数学に固有な読解力の関係性を明確にした上で,数学学習に固有な読解力育成に向けた指導方法の開発とその実践を目的とするものである。計画当初,4月から9月の期間で理論的検討を終え,9月から段階的に実践面の検討へとシフトしていく予定だった。しかしながら,8月末をもって研究の廃止手続きを行なったため,研究成果に関しては理論的なものに限られている。 具体的には,一般的な読解力を「国語的読み」,数学に固有な読解力を「数学的読み」に分類した上で,文章題解決過程において,両読みがどのように使い分けられているのかを捉える記述的枠組みを作成した。本枠組みの策定によって,学習者が文章題を読解する際の文章の読み方の違いを,4つの読解タイプとして顕在化させることが可能となった。従来の指導においては,文章題を解決する困難性を学習者の数学能力や,数学自体の難しさに求める傾向があったが,本研究で作成した枠組みでは,文章題を解決する困難性が自然言語の読解過程に由来する可能性にも言及している点に特徴がある。この視点は,従来の数学教育学研究の方法論を拡張しようとするものであり,本研究の意義となる。 一方で,廃止までの期間においては,理論的な考察のみにしか着手できなかったため,策定した枠組み自体の妥当性や記述性の高さを検証するには至っていない点が実践面の課題として残されている。また,生徒の読解タイプを特定する精度を高めるために,可能世界論の知見を援用しようと試みたが,策定した枠組みとの整合性がうまく担保できなかった。この点が理論面の課題として残されている。
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Research Products
(2 results)