2023 Fiscal Year Annual Research Report
義務教育段階におけるAIリテラシーを育む指導方法の開発と実践
Project/Area Number |
23H05093
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
谷本 優太 長崎大学, 教育学部, 中学校教諭
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 人工知能 / 技術科教育 / 題材開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国では,政策討議(AI戦略)において,人工知能(AI)の研究開発,社会実装を推進する一方で将来的なAI人材の不足が危惧されている。中学校段階においても,AIの活用について学習指導要領で求められていることから,義務教育段階におけるAIリテラシーの獲得が今後,急務になると考えられる。そこで本研究では,過年度研究において,中学生を対象とした画像認識技術におけるディープラーニングを小学生が扱えるように条件を整理し実践することを通して,義務教育段階におけるAIリテラシーの獲得をより確かなものとし,AIに関する概念理解の学習及び制作を行う段階的な授業デザインの構築によって,義務教育段階の児童及び生徒に段階を分けたAIリテラシーを育み,AI人材の素地を養うことを目的とした。 小学生を対象とした授業実践をするにあたり,過年度研究で定義した「AI概念図」を中学生版から小学生版に変更するとともに,抽出した「性能に関わるポイント」を4つから2つに絞ることとした。これらを,大学研究者・小学校教諭・研究代表者で内容に差異が生じないか,言葉が複雑でないかを検討し,妥当性を確認した。授業実践では,「AI概念図」を用いて,AIについての理解を促し,実際に児童が工夫してAIをつくり,パラメータ調整ができるようにするとともに,得られた結果を他の班と比較できるように可視化した。 本実践において,質問紙による事前・事後調査を実施したところ,「AIを工夫してより良くすることができる」,「AIを上手に使うことができる」において有意な増加が見られた。パラメータ変更に伴う結果の違いに気づいたことで,AIの仕組みの理解に基づいて,AIの精度を高めることができたと推察される。以上のことから,AIの仕組みに理解やAIを改善することを中心に有用感の高まりが確認された。
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