Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
交通事故解析で重要な着衣人体-路面間の摩擦係数について、速度、着衣の素材、人体挙動及び路面条件等による影響が不明確な背景から、牽引及び切り離しの2種の手法で摩擦係数を計測した。牽引法では、低速(クリープ走行)で、ダミー着衣と路面状態を条件とした実験を行い、牽引荷重を計測する手法で摩擦係数を求めた。その結果、全ての条件で0.6~0.7程度の値となった。切り離し法では、走行速度を条件とし、直立状態のダミーを落下させる実験を行い、落下位置から停止位置までの移動距離を計測する手法で摩擦係数を求めた。その結果0.6~0.9程度の値となり、特に高速域(50km/h)程度では牽引法とほぼ同程度の値となった。
交通事故解析
交通事故で事故当時車両の速度算出等を行う場合、個々の事案により条件が様々で適切な着衣人体-路面間の摩擦係数の選定が課題となっていた。今回、着衣の素材、路面の状態を変更した牽引実験に加え、実際の事故状況に近い切り離し法による実験を複数回行い、概ね同程度の値(0.6~0.9程度)が得られたことから、様々な事故形態に対して上記の摩擦係数が適用可能である可能性が示唆されたものと考えられる。