2023 Fiscal Year Final Research Report
新規消化性潰瘍治療薬ボノプラザンが抗VEGF薬の治療効果に与える影響
Project/Area Number |
23H05262
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
3180:Clinical pharmacy-related
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
ANDO Rie 徳島大学, 病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 抗VEGF薬 / ボノプラザン / プロトンポンプ阻害剤 |
Outline of Final Research Achievements |
抗VEGF剤を使用するがん患者の消化管出血予防にはPPIが第一選択薬だが、PPIはがん細胞でVEGF発現を上昇させ抗VEGF剤の効果を減弱する可能性がある。一方、ボノプラザンはVEGF発現への影響が異なる可能性があり、本研究ではPPIと比較した。様々ながん細胞株でPPIはVEGF mRNAとタンパク分泌を上昇させたが、ボノプラザンは上昇させなかった。ERαに対する結合親和性もボノプラザンの方が低かった。PPIによるVEGF発現の上昇はERα阻害により抑制された。本研究の結果、PPIはERαを介してVEGF発現を上昇させるが、ボノプラザンは上昇させないことが明らかになった。
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Free Research Field |
臨床薬理学
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Academic Significance and Societal Importance of the Research Achievements |
本研究は、プロトンポンプ阻害剤(PPI)がエストロゲン受容体(ERα)を介してがん細胞のVEGF発現を上昇させることを解明し、ボノプラザンがこれを引き起こさないことを示した。本研究結果から、ボノプラザンがPPIと異なりVEGF発現を上昇させないため、抗VEGF剤を使用するがん患者に対してより安全な消化性潰瘍治療薬となることが示唆される。本研究成果により、抗VEGF療法と併用する際の薬剤選択に新たな科学的根拠を提供することになり、消化管出血のリスク低減、がん治療継続を介して、患者のQOL向上と医療コスト削減につながると考えらる。
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