2023 Fiscal Year Annual Research Report
食道がんにおけるALDH2遺伝子多型に基づいた治療戦略の確立
Project/Area Number |
23H05274
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
藤田 一馬 秋田大学, 医学部附属病院, 薬剤主任
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | シスプラチン / ALDH2 / 遺伝子多型 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】本研究は、Aldehyde dehydrogenase 2 (ALDH2) rs671遺伝子多型が治療を受けた食道がん患者の予後に及ぼす影響を検討し、さらにCDDPの投与により腎障害を発症した食道がん患者とALDH2 rs671遺伝子多型の関連を明らかにすることを目的とした。 【研究方法】Cisplatin+5-FU(FP)療法が施行された食道がん患者154名を対象として本研究を実施した。腎障害は、初回FP療法施行時におけるGrade1以上の血清クレアチニン上昇と定義した。さらに、術前化学/化学放射線療法が施行された113名を対象とし、組織学的効果、生存期間および無病生存期間との関連性を解析した。ALDH2 rs671遺伝子多型は、PCR-RFLP法を用いて解析した。 【結果①】Grade1以上の血清クレアチニン上昇の発現を目的変数として、多重ロジスティック回帰分析を行った。単変量解析の結果、マグネシウム併用の有無および化学療法前の血清クレアチニン値に有意差がみられた (それぞれP = 0.006および0.004)。多変量解析の結果、同じくマグネシウム併用の有無および化学療法前の血清クレアチニン値に有意差がみられた (それぞれP = 0.005および0.020)。一方、ALDH2 rs671遺伝子多型との関連はみられなかった。 【結果②】術前化学/化学放射線療法施行後の組織学的効果、全生存期間および無病生存期間とALDH2 rs671遺伝子多型との関連を比較した結果、有意差はみられなかった (それぞれP = 0.526および0.900)。 【結論】本研究結果より、ALDH2 rs671遺伝子多型は食道がん治療を受けた患者の予後に影響はなく、さらにCDDP誘発性の腎障害の発現にも影響しないと考える。
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