2023 Fiscal Year Annual Research Report
グリコペプチド感受性腸球菌菌血症に対するテイコプラニンのPK/PD解析
Project/Area Number |
23H05297
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 諒 東京大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Enterococcus faecium菌血症 / テイコプラニン / AUC/MIC |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究の背景・目的】本研究は、グリコペプチド感受性Enterococcus faecium(GSEF)菌血症に対するテイコプラニン(TEIC)の血中濃度曲線下面積(AUC)/最小発育阻止濃度(MIC)と治療効果の関係を明らかにし、その目標値を設定することを目的とした。 【研究計画・方法】GSEF菌血症に対してTEICを使用した患者を対象とした後ろ向きコホート研究を実施した。2009から2023年の間にGSEF菌血症と診断され、TEICで48時間以上治療された18歳以上の患者を対象とした。TEICのAUCは各患者のトラフ濃度を用いてベイズ推定により推算した。MIC値はE-testで再測定し、AUC/MICを計算した。主要評価項目はGSEF治療の失敗(30日死亡または微生物学的失敗)とした。決定木分析(CART)を用いて、治療の成否を分けるTEICのAUC/MICの目標値を決定した。ロジスティック回帰分析を行い、AUC/MICの目標値を超えることが治療の成否に関わる独立した因子になることを検証した。 【研究成果】合計76名の患者が対象となり、治療失敗率は23.7%(18/76)であった。CART分析の結果、AUC/MIC=1680.67が治療の成否を分けるカットオフ値であることが示された(P=0.012)。ロジスティック回帰分析の結果、AUC/MIC≧1680.67が治療失敗を防ぐ独立した要因であることが明らかになった(P=0.016)。これらの知見から、GSEF菌血症に対してTEICで治療する際は、AUC/MIC≧1680.67を目標にすることが治療成功率の向上に寄与する可能性が示唆された。
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