2023 Fiscal Year Annual Research Report
薬物動態モデルを用いたプロポフォール脳中濃度の個体間変動因子の探索
Project/Area Number |
23H05310
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川田 将義 京都大学, 医学部附属病院, 薬剤師
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 薬物動態モデル / 脳中濃度 / プロポフォール |
Outline of Annual Research Achievements |
麻酔薬プロポフォールの投与管理は、目標調節投与法(Target controlled infusion:以下TCI)に基づき行われ、Marshらの報告した3-コンパートメントモデル (Marsh B, Br J Anaesth 67: 41-48,1991)に基づき予測血中濃度が算出される。一方、プロポフォールの作用部位(脳中)濃度は、麻酔深度から算出された血中濃度と作用部位(脳中)濃度間の速度定数に基づいて算出されており、実測値との整合性は不明であった。本研究では、プロポフォールの目標調節投与法予測値と血中または脳中濃度の実測値との相関関係、さらには覚醒度との相関関係を明らかにし、覚醒不良の原因を探索した。京都大学医学部附属病院脳神経外科において、覚醒下手術を受けた患者57症例を対象とし、覚醒指示によるプロポフォール投与停止以降の最大5ポイントにおいて、ヒト血清およびヒト摘出脳検体(5-30mg)を採取した。脳検体はホモジナイズしたうえで、血中および脳中プロポフォール濃度を高速液体クロマトグラフィーにより測定した。また、実測値に基づいた母集団薬物動態モデルを構築することによって、正確な脳中濃度を予測し患者ごとのばらつきの原因を探索した。血中105検体・脳中80検体の実測値を用いて母集団解析ソフトウェアNONMEMにより母集団薬物動態解析を行った。その結果、脳中濃度と血中濃度の比であるKp値を考慮することにより、血中及び脳中のプロポフォール濃度を良好に予測可能な新たな薬物動態モデルを構築することに成功した。なお、この成果については2023年度に学術論文として採択された(Kawata M, Sci Rep. 14: 6326, 2024)。
|