2023 Fiscal Year Annual Research Report
CO2要求性肺炎球菌血清型24F(ST162)はなぜ侵襲性感染症を惹起しやすいのか?
Project/Area Number |
23H05334
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
大楠 美佐子 千葉大学, 真菌医学研究センター, 大学技術職員
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肺炎球菌 / CO2要求性 / 血清型24F |
Outline of Annual Research Achievements |
小児に13価肺炎球菌結合型ワクチンを国内で導入後、小児の侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)患者から非ワクチン型の分離例が増加している。血清型24Fは多く、特に35℃の発育にCO2が必要な株が急増していた。発育に特別な栄養を必要とする細菌はsmall-colony variantsと呼ばれ、感染の持続性、再発性に関与するとされるが、肺炎球菌の情報は少ない。本研究は、細菌学的特徴とCO2要求性関連遺伝子を明らかにすることで急増する本菌の感染メカニズムを解明し、本菌によるIPDの治療・予防に役立てることを目的として行った。 臨床検体から分離された研究室保存の肺炎球菌を使用した。まず、血清型24Fのうち、Sequence type(ST)162と非ST162の株を用い、細菌学的特徴を比較した。その結果、ST162はほとんどの株が35℃培養でCO2要求性を示した。また、CO2存在下で実施した薬剤感受性試験では、PCGに感受性であり、ST合剤に耐性であるという特徴を有していた。 さらに全てのCO2要求性ST162の株から、継代によりCO2非要求性となった株を取得した。これらと元株のゲノム配列を比較解析した結果、細胞壁合成関連遺伝子であるmurFや、その周辺に遺伝子変異を確認した。これらの変異が、CO2要求性に関わっていると推察された。 今後は、これらの菌株について、病原性などを比較検討する予定である。
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