2023 Fiscal Year Annual Research Report
大血管手術でのmulti-train刺激による運動誘発電位モニタリングの応用と有用性検討
Project/Area Number |
23H05343
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
油野 岳夫 金沢大学, 附属病院, 臨床検査技師
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | aortic aneurysm surgery / multi-train刺激 / 術中脳脊髄モニタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、胸部下行・腹部大動脈人工血管置換術手術時(TAAA手術)における脊髄虚血検知に用いる経頭蓋電気刺激運動誘発電位(MEP)のmulti-train刺激法の有用性について検討したものである。 本研究より、multi-train刺激法は体外循環や低温循環停止などで通常のsingle-train刺激MEPでは、波形の振幅が低下または消失するような状況下においても波形の増幅が得られることが判明した。このc法を使用しMEPの増幅を得た1症例については、症例論文として報告を行った。 さらに、multi-train刺激により増幅されたMEP波形によるモニタリング結果は特異度が高く、multi-train刺激法のみで波形が検出された場合においても術後対麻痺の可能性が低いことを示していた。また、multi-train刺激による増幅は、対象筋により異なる点も明らかとなった。 一方で、本研究の対象において術後対麻痺症例がなく、対麻痺症例でのmulti-train刺激の影響に関する検討がない点、対象症例数が少なく、決定木分析などの機械学習法を用いたモニタリングの施行フローの作成には至らなかった点が課題として挙げられた。 今後、症例数を増やすことでTAAA手術におけるmulti-train刺激MEPモニタリングの有用性についてさらに検討するとともに、機械学習などの人工知能技術を応用することでより臨床応用のしやすいモニタリングのフローチャートの作成を目指す予定である。
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