2023 Fiscal Year Annual Research Report
冠動脈疾患発症リスクの予測を目的とした赤血球リピドミクス解析法の開発
Project/Area Number |
23H05349
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
山崎 あずさ 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 臨床検査技師
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 赤血球 / コレステロール / 臨床検査 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】脂質異常症の診断を目的に血清リポタンパクコレステロール(Chol)が広く測定されている.一方で,血液中の約半分を占める赤血球も血清と同程度のCholを含み,リポタンパクとの間においてCholの転送が行われていることから,赤血球が脂質代謝に深く関与していることが考えられている.実際に,赤血球膜Chol量は冠動脈疾患と正の相関があるという報告もあり,赤血球の脂質含有量を測定することが動脈硬化性疾患のリスク予測につながる可能性がある.しかし,既報の赤血球脂質測定法は,煩雑な工程が多く,回収率も低いため,臨床の現場では測定されていない.本研究では,赤血球脂質含有量の臨床での測定を実現するため,より簡便な方法の確立を目的とし,健常者および患者検体の解析を行った. 【方法】東京医科歯科大学医学部倫理委員会で承認(承認番号:M2000-1790,M2016-049)を受けた内容に基づき,健常者および患者検体を用いた.全血から洗浄赤血球を作製し,化学物質の添加により酵素試薬と直接反応させ,Chol量を測定する方法について検討した. 【結果】赤血球Chol含有量直接測定法の妥当性(併行精度,室内再現精度,添加回収試験,直線性)は良好であった.健常者12名の検体を測定したところ,赤血球体積あたりのChol濃度は男性154.8±2.9 mg/dL,女性155.9±6.9 mg/dLで,赤血球1個あたりのChol含有量は男性139.0±5.2 fg/cell,女性140.8±5.3 fg/cellであった.また,患者検体の解析において,赤血球1個あたりのChol含有量は中性脂肪と負の相関(r=-0.371,p=0.044),平均赤血球容積(MCV)と強い正の相関(r=0.878,p<0.001),赤血球数と負の相関(r=-0.446,p=0.013)が認められた.
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