2023 Fiscal Year Annual Research Report
関節可動域制限に関わる骨格筋の病態評価方法の確立-超音波エラストグラフィの活用-
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23H05372
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中川 晃一 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 理学療法士
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 関節可動域制限 / 超音波エラストグラフィ / 臨床病態評価法 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】虚弱高齢者に頻発する関節可動域(以下,ROM)制限には骨格筋の伸張性低下が関与するが,その臨床病態評価法は開発されていない.これまでにわれわれは,超音波エラストグラフィを用いて測定した股関節外転ROM制限に関わる長内転筋の筋硬度は,若年健常者に比べて虚弱高齢者が有意に高く,筋硬度が高いほどROM制限が顕著であることを報告してきた.しかし,健常高齢者が対象に含まれておらず,かつ筋硬度の測定は股関節外転0°の一条件のみという研究の限界があり,加齢ならびに虚弱の影響や,測定する関節角度が筋硬度におよぼす影響は不明であった.そこで,本研究ではこれらの点について明らかにすることを目的とした. 【方法】対象は若年健常者22名(若年群),健常高齢者22名(健常群),虚弱高齢者22名(虚弱群)とした.評価項目は股関節外転ROMおよび外転0°と最終域で超音波エラストグラフィを用いて測定した長内転筋のStrain Ratio(SR;低値であるほど筋硬度が高い)とした.統計処理にはKruskal-Wallis検定(事後検定:Steel-Dwass検定)とSpearmanの順位相関係数を適用した. 【結果】ROMおよび外転最終域のSRは若年群と比較して他の2群は有意に低値で,虚弱群は健常群に比べ有意に低値であった.一方,外転0°のSRは若年群と健常群で有意差は認められず,この2群に比べ虚弱群は有意に低値であった.また,外転0°ならびに最終域のSRとROMには有意な正の相関を認め,最終域で相関関係が高かった(0°:ρ= 0.41,p< 0.01,最終域:ρ= 0.73,p< 0.01). 【考察】骨格筋が伸張されている最終域で計測したSRは,加齢のみならず,虚弱といった要因を反映しており,ROM制限と関連性が強いことから,この指標はROM制限の臨床病態評価法として活用できる可能性がある.
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Research Products
(2 results)