2023 Fiscal Year Annual Research Report
Development of single-molecule peptide sequencing method
Project/Area Number |
23H05456
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
村上 裕 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (10361669)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 剛介 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (40648268)
日野 智也 鳥取大学, 工学研究科, 准教授 (40373360)
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Project Period (FY) |
2023-04-12 – 2028-03-31
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Keywords | 一分子ペプチド配列決定 / 人工抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、より良い人工抗体を創出するために、多様性の高い人工抗体ライブラリーを構築した。その際、我々の独自技術であるTRAP提示法の効率を上げるために、効率よくリボソームを停止させる配列を、次世代シークエンサーを用いた解析により見出し、Nucleic Acids Research, 2023, gkad555.に発表した。本配列を用いることで、リボソームのAサイトが空コドンに来た際に、Pサイトに嵩高い塩基をもつtRNAが配置され、空コドンのミスリーディングが抑制され、その結果、ピューロマイシンとペプチジルtRNAの反応が相対的に促進されると予想される。本結果は、人工抗体ライブラリの構築に限らず、環状ペプチドライブラリの構築にも役に立ち、今後、ライブラリ作製にとって重要な知見となる。続いて、N末端アミノ酸特異的な人工抗体の選択に使用するペプチドの合成を行った。ペプチド固相合成とHPLCでの精製を経て、計画していた90種類のすべてのペプチド(20種類の天然アミノ酸+10種類の翻訳後修飾アミノ酸)x(3種類の第二残基)について合成が達成できたことをHPLCと質量分析を用いて確認した。ここで第二残基を3種類調製したのは、様々な第二残基をもつペプチドを標的とすることで、第一残基のみを認識する人工抗体を得るためである。プレ実験として、一部のペプチドについて先行して人工抗体選択実験を行い、得られた人工抗体を大腸菌で発現し、中圧の液体クロマトグラフィーを用いて精製した。分子間相互作用装置で解析した結果、2種類のアミノ酸についてN末端特異的な人工抗体を取得することができたことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多様性の高い人工抗体ライブラリの調製に成功しており、これにより目的の人工抗体を取得する可能性が大きく上がった。本結果はNucleic Acids Research(IF16.9)に掲載された。本配列は、今後の人工抗体と環状ペプチドライブラリー調製に活用され、より高機能の結合分子の取得が可能になると期待される。さらに標的となる90種類のペプチドの合成と精製も完了し、プレ選択実験で得られた人工抗体も、2種類のN末端アミノ酸に対して特異性を示すことが分かった。このように研究は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
まずビオチン化ペプチド30種類を標的として人工抗体の選択を行う。さらに、予備実験で作製した人工抗体が、新規に購入した相互作用解析装置による解析で有望であることもわかったので、上記の実験と並行して、本人工抗体をもとにして親和性成熟用ライブラリを作製し、上記のペプチドに対して人工抗体の親和性成熟を先行して行う。これについても、人工抗体が2残基目を認識しないように、2残基目のアミノ酸として別のアミノ酸を配置した60種類のペプチドを昨年合成したので、これらを選択操作の際に交互に標的として使用する。さらに酵母提示法を立ち上げてフォローサイトメータとの併用により、非特異的な結合を持つ人工抗体の除去や、より特異的な結合を持つ人工抗体の選択を可能にする。酵母提示法では、TRAP提示法で選択したcDNAを酵母に導入し、人工抗体を酵母表面に発現させ、上記のビオチン化ペプチドを作用させ、蛍光標識したストレプトアビジンで蛍光を付加することで、特定のペプチドを結合する人工抗体を選択する。DNAの配列解析は、昨年購入した次世代シークエンサーで行う。また、実験の多様化に伴い、本年度は担当の学生を3人から6人へと倍増する。これにより、研究のスピードをさらに加速できると考えている。
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Research Products
(9 results)