2023 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on innovative technology for modification of structural skeleton of natural products and production of artificial novel natural compounds
Project/Area Number |
23H05474
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
新家 一男 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 総括研究主幹 (20251481)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 賢一郎 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (80442573)
工藤 慧 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (80828161)
末永 光 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (90357252)
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Project Period (FY) |
2023-04-12 – 2028-03-31
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Keywords | コンビナトリアル生合成 / ポリケタイド / 放線菌 / 天然化合物 / バイオものづくり |
Outline of Annual Research Achievements |
放線菌をはじめとする微生物は、医薬品やその原料などとして利用される多様な生物活性を示す様々な化合物を生産する。中でもモジュラー型酵素によって生合成される中分子化合物は、多数の不斉炭素を含む極めて複雑な構造を有することで知られている。この生合成メカニズムを利用した誘導体創成技術を開発することで、有機合成法ではアクセス困難なケミカルスペースの活用が可能になると期待される。本研究の目的は、モジュラー型酵素を利用した実用的なコンビナトリアル生合成技術を開発することである。I型ポリケチド合成酵素(I型PKS)のような巨大酵素を改変する技術として、我々は、生合成遺伝子クラスター全長を組込んだ細菌人工染色体に対し、CRISPR/Cas9およびGibson assembly法を併用して正確に遺伝子改変を行うin vitroモジュール編集技術を開発してきた。本技術により狙った改変を着実に行うことが容易となり、大規模な母核改変研究を行った結果、生産量の差はあるものの高確率で母核改変化合物が生産されるという結果を得た。そこで、本技術の高度化を行い、コンビナトリアル生合成技術を確立することで、より迅速かつ効率的に多種多様な誘導体の創製が可能になるとの考えに至った。従来、I型PKSモジュールの単位は遺伝子の境界に対応するように考えられてきたが、近年は中間体の受け渡しを考慮した新モジュール境界が注目されるようになってきた。本研究では、このような新モジュール境界説を取り入れつつ、モジュールをランダムに組み合わせて、化合物「ライブラリー」を構築するための技術基盤を開発する。 本年度は少数の組合せについて概念実証を行い、次年度以降の大規模検証の予備的知見を得た。また多数の組合せを実現するために必要な遺伝子パーツの機能検証を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
我々の提唱するコンビナトリアル生合成の概念実証を行うため、これまでin vitroモジュール編集により改変化合物の生産に成功した実績のあるI型PKS遺伝子を鋳型とし、少数の組合せを構築して放線菌における異種発現実験によって化合物の生産を検討した。その結果、我々のこれまでの経験と同様に生産量の差はあるものの、コンビナトリアル生合成の戦略でも化合物生産が可能であることを明らかにした。 多数の組合せを実験・検証するための準備として、組合せを媒介するドッキングドメインの機能検証を試みた。組換えタンパク質の調製に関して種々検討したが、現在までに高効率で多種のドッキングドメインを得る手法を確立するには至っていない。 新モジュール境界説に基づく(コンビナトリアル生合成ではない)I型PKSの改変に関して、改変前後で生産量の低下が小さいモジュール境界を見出すことに成功している。新モジュール境界説に則った複数のモジュール境界について、中分子天然化合物そのもののコンビナトリアル生合成に適用した際の生産性の差を検証するため、必要な遺伝子を構築した。
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Strategy for Future Research Activity |
我々の提唱するコンビナトリアル生合成戦略に基づき、多数のモジュールを用いて化合物生産を検証する。全ての組合せにおいて必ずしも化合物が生産されるとは限らないが、I型PKSによって作り出される構造多様性を網羅するように検証することで法則性を見出すとともに、新たなモジュールデザインを行い利用可能な構造を拡張していく。また、ドッキングドメインの機能をin vivoで検証することで組換えタンパク質調製の問題を迂回し、多段階のコンビナトリアル生合成に利用可能なシステムを構築する。 新モジュール境界説に則った複数のモジュール境界について、中分子天然化合物そのもののコンビナトリアル生合成に適用した際の生産性の差を検証する。
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Research Products
(6 results)