2023 Fiscal Year Research-status Report
Research for bridging the philosophy of the meaning of life and the philosophy of birth affirmation
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23K00039
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
森岡 正博 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (80192780)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 人生の意味の哲学 / 誕生肯定 / 現象学 / 無痛文明 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まず日本で体系的に研究されていない「人生の意味の哲学」の全体像を把握して公刊するために、(1)共編著図書『人生の意味の哲学入門』(春秋社)を刊行し、(2)同書の中で「人生の意味の哲学」の現時点における概観を行なう論文2本を刊行した(「人生の意味の哲学はどのような議論をしているのか」および「人生にイエスと言うのは誰なのか?―人生の意味への肯定型アプローチ」)。また、同様の目的で学術誌『現代思想』で「人生の意味の哲学」特集を企画して、同誌で対談を行なった(対談:生きる意味を問うとき、私たちは何を考えているのか)。また、第5回「人生の意味の哲学国際会議」の報告論文集を『Philosophy and Meaning in Life Vol.5: Selected Papers from the Tohoku Conference』として編集した。さらに、研究期間中に人生の意味の哲学と現象学の内的関連性についての考察に進展があり、その副次的産物として、かねてより研究を進めていた「アニメイテド・ペルソナ」論を現象学の視点から論文「The Sense of Someone Appearing There: A Philosophical Investigation into Other Minds, Deceased People, and Animated Persona」として刊行した。また、人生の意味と現象学を直接的に結びつける視座を獲得し、ヨーク大学の研究会にて「Phenomenology of a Life Seen from within」として発表し、共同討議を行なった。この視座は本研究を大きく進める可能性をはらんでいると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
・人生の意味の哲学の概観を与える共編著図書を刊行することができた。 ・人生の意味の哲学国際会議の報告論文集を編集して刊行することができた。 ・誕生肯定の概念を人生の意味の哲学に文脈に位置付ける論文を刊行することができた。 ・アニメイテド・ペルソナ概念に関する論文を刊行することができた。 ・人生の意味と現象学の内的関連性を発想し、国際的議論をすることができた。 以上の理由によって、当初の計画を超えて研究が進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果を踏まえて、来年度はまず人生の意味と現象学との内的関連性について深く掘り下げていく予定である。この方向性は本研究の申請時は想定していなかったが、研究の進展によって新たに見えてきた地平であるので大切に育てていき、国際学会発表および論文刊行を目指したい。また、人生の意味の哲学と誕生肯定の関係性については引き続き理論的な考察を行ない、国際的議論へとつなげていく。とくに加害者の誕生肯定については現在英語論文を執筆中であり、来年度に投稿する予定である。来年度はモンテネグロおよびリバプールの国際学会で2回研究発表することになっている。さらに議論を深めていきたい。
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Causes of Carryover |
次年度の5月と6月にモンテネグロおよび英国で開催される2回の国際学会に出席して発表するのでその旅費約90万円を支出するが、年度をまたぐので請求書の支払いを4月1日以降に行なうため。次年度の予算は当初の予定通りに使用する。
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