2023 Fiscal Year Research-status Report
Study on the verb suppletion in Old Indo-Aryan
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23K00050
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
尾園 絢一 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 准教授 (90613662)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 動詞補完(verb suppletion) / ヴェーダ / 古インドアーリヤ語 / 補完パラダイム |
Outline of Annual Research Achievements |
「行く」(ay, gaa),「見る」(paz, drz),「見る」(caks, khyaa),「殺す」(han, vadh),「光る」(dyot, roc)など,これまで知られている13の動詞補完を整理し,概要把握のために各動詞補完のパラダイム内における分担関係について予備調査を行った。これまで調査を行ってきた「与える」(daa, pra-yam, raa)について,改めてリグヴェーダ,アタルヴァヴェーダ,黒ヤジュルヴェーダ(マイトラーヤーニー・サンヒターなど),ブラーフマナ文献,シュラウタスートラの用例を分析した。当該動詞補完を時代・文献ジャンル(マントラと散文)別の用例分布,パラダイムレベルの分担関係,アスペクト,結合価構造などの点から検討し,考察を進めている。pra-yam「差し出す」の現在語幹pra-yaccha-ti の用例が増加するのはリグヴェーダ10巻以後であるが,補完関係にあるとされる現在語幹dadaatiとpra-yacchatiだけでなく,root aor. (a)daa-, pra-(a)yam-などのアオリスト語幹とも比較しながら調査を進めている。現時点では両者の用法上の区別については見出せないケースが多いものの,pra-yaccha- が特定の文脈で現れる可能性を考慮に入れつつ検討中である。10月頃までに調査・考察の結果をまとめ、学会発表の準備をすすめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
同時並行で進めている他の課題の調査、成果発表を重点的に行ったため、若干調査が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
先ずは「与える」(daa, pra-yam)の調査結果を学会において発表する予定である。その後、当初の予定を若干変更し、「行く」(ay, gaa),「殺す」(han, vadh),「光る」(dyot, roc),「落ちる」(zad, ziiy),「走る」(dhaav, sar),「走る」(drav, dram, draa),「眠る」(svap, sas)の順に調査を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
情報収集と研究成果発表のための学会参加を予定していたが、参加できなかったため、次年度使用額が生じた。次年度使用額分については、2023年度に予定していた情報収集・研究発表を2024年度に行い、そのための学会・研究会参加費に使用する。
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