2023 Fiscal Year Research-status Report
Formation and development of secularist society and "religious suppression": A Case Study of Modern and Contemporary Japan
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23K00072
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
永岡 崇 駒澤大学, 総合教育研究部, 講師 (30725297)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 俊太郎 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (00649030)
赤江 達也 関西学院大学, 社会学部, 教授 (30823819)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 宗教弾圧 / 殉教 / 法難 / 迫害 / 法難 / 世俗主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
近現代日本における「宗教弾圧」の諸事例、および「宗教弾圧」をめぐる言説の分析を通じて、世俗主義社会の形成・展開と宗教文化の関係を明らかにするという研究課題を達成するため、本年度は以下の諸作業を行った。 ①「宗教弾圧」言説の分析視角をめぐる理論的研究。「宗教弾圧」を弾圧/被弾圧、殉教/背教といった二項対立的な枠組みから解放し、近現代社会における宗教と社会の入り組んだ関係を問うための鍵概念として彫琢するために、「弾圧」「迫害」「殉教」「法難」「転向」といった関連語の来歴や用法についての再検討を行った。その作業により、世俗的領域と宗教的領域にまたがる歴史的文脈の中で、「宗教弾圧」の意味が重層的に決定されるプロセスを捉えていくことが重要であるということを確認した。 ②「宗教弾圧」言説をめぐる事例研究。とくに、親鸞の「法難」をめぐる近代の語りの系譜、内村鑑三「不敬」事件をめぐる語りの系譜、植民地朝鮮の民族宗教弾圧をめぐる語りの系譜、遠藤周作の戦時体験とキリシタンを主題とする諸作品の関係などを検討することで、「弾圧」を語るという行為を取り巻く政治的・宗教的力学を明らかにした。 ③研究代表者・分担者・協力者によって構成される研究会を対面で2回、オンラインで8回実施し、問題意識の共有や意見交換を行った。 ④近代日本における「宗教弾圧」を扱った研究書・研究論文・雑誌記事・新聞記事・文学作品・演劇作品・映像作品・モニュメントなどの総目録の作成に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題の達成に向けて、基礎データの収集、理論研究、事例研究いずれにおいても順調に作業を進めることができている。また、対面・オンラインの両面で研究組織メンバーのミーティングを密に行い、問題意識の共有・深化や情報交換を行っている。メンバーによる個別的な成果も発表することができた。 他方、「宗教弾圧」をめぐる芸術作品やモノについての調査は本格的に着手できておらず、次年度以降の課題として残っている。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、本年度に着手した作業を継続して行う。 加えて、「宗教弾圧」をめぐる芸術作品やモノについての調査を進め、「宗教弾圧」文化の広がりの把握を試みる。 共同研究の成果を学会発表や論文の形で学界に問い、そこで新たに生じた課題や知見を踏まえて、よりよい研究の方向性を探っていく。
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Causes of Carryover |
本年度は、「弾圧」/「殉教」をめぐる現地調査を複数回実施する計画だったが、日程上の関係で実現できなかった。次年度において、予定分の調査を行う予定である。
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Research Products
(18 results)