2023 Fiscal Year Research-status Report
北杜夫著『輝ける碧き空の下で』創作資料の解析と精神医学的解釈
Project/Area Number |
23K00295
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
高橋 徹 信州大学, 学術研究院医学系, 准教授 (70313856)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 北杜夫 / 輝ける碧き空の下で / 病跡学 / 精神医学 / 創作資料 / 書斎遺品 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度である2023年度は、北杜夫研究家で『憂行日記』の編者でもある齋藤国夫氏(本名:青田吉正氏)と対象資料に関する意見交換をメールや電話、対面にて実施した。また北杜夫の資料を多数所蔵している世田谷文学館を訪問し、担当学芸員と情報交換した。『輝ける碧き空の下で』創作時に資料提供などで北杜夫に協力した故古関富弥氏、故古関八重子氏の親族と手紙で情報共有することができ、研究協力についての同意をいただいた。 関連領域の研究論文として、松本市立旧制高等学校記念館に寄贈された北杜夫の遺品を調査対象とした以下の2論文を発表した。①高橋徹:北杜夫の書斎遺品 ―『どくとるマンボウ航海記』写真24枚の検討―.信州大学附属図書館研究13:17-32,2024.②高橋徹:北杜夫の書斎遺品 ―「Z旗」からみる「躁うつ病」と精神科診断学―.信州大学附属図書館研究13:33-62,2024. 北杜夫の親族(斎藤家)、北杜夫研究家(青田吉正氏)、『輝ける碧き空の下で』創作時の協力者(故古関富弥氏、故古関八重子氏)の親族と手紙やメール、電話、対面での情報共有を継続的に進めており、2024年度以降は、以下3論文の作成と発表を目指す。①北杜夫の書斎遺品―『輝ける碧き空の下で』(1):関連資料の概要、②北杜夫の書斎遺品―『輝ける碧き空の下で』(2):異国・大河小説としての位置付けと創作時の精神状態、③北杜夫の書斎遺品―『輝ける碧き空の下で』(3):創作協力者・古関富弥氏・古関八重子氏―.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
北杜夫の書斎遺品を考察した2論文を2023年度に発表した。当該研究の対象である小説『輝ける碧き空の下で』を主テーマとした論文は、「北杜夫の書斎遺品 ―『輝ける碧き空の下で』(1):関連資料の概要」と題して作成中であり、2025年1月頃の掲載を目標としている。北杜夫の創作に協力した古関氏のご遺族と連絡がつき、また北杜夫研究家の青田吉正氏に遺品内で見つかった手紙の解析を依頼しており、進捗としてはおおむね順調と考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
関係者(遺族、研究者)の協力を仰ぎながら、以下の論文を2024年度に発表することを目指している。 ・北杜夫の書斎遺品 ―『輝ける碧き空の下で』(1):関連資料の概要 またこれに続く論文として、以下の論文作成を検討している。 ・北杜夫の書斎遺品 ―『輝ける碧き空の下で』(2):異国・大河小説としての位置付けと創作時の精神状態 ・北杜夫の書斎遺品 ―『輝ける碧き空の下で』(3):創作協力者・古関富弥氏・古関八重子氏―
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Causes of Carryover |
初年度の設備備品としてWindows11搭載パソコンを購入し、研究環境を整備する予定だったが、当初の研究計画よりも、資料解析(取材ノートや手紙)を依頼した研究協力者への謝金(指導、助言、原稿校閲)と取材旅費への配分を増やす方針とした。そのため初年度のパソコン購入は中止し、初年度予算を次年度に持ち越すこととした。
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Research Products
(4 results)