2023 Fiscal Year Research-status Report
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23K00298
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
小林 直樹 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 教授 (40234835)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 無住 / 南宋 / 大慧宗杲 / 大慧普覚禅師語録 / 大慧普覚禅師法語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、無住が南宋代成立典籍の一つ、大慧宗杲の語録である『大慧普覚禅師語録』をいかに受容しているかを考察した。 本書と無住との関係をめぐっては、最近、宋春暁氏が『沙石集』の巻5本第5条「学生ノ怨心ヲ解タル事」所載の道林禅師と白居易の問答譚の出典が『大慧普覚禅師語録』であることを明らかにするとともに、集中三箇所に現れる「大恵禅師」の言葉についても、従来注釈書において一行禅師の言葉に比定されてきたところを、『大慧普覚禅師語録』に依るものであることを指摘している。そこで宋氏の研究を承け、『沙石集』巻3第6条「道人ノ仏法問答セル事」所載の説話で、従来『景徳伝灯録』が出典と考えられていた大珠和尚と馬祖の問答譚が『大慧普覚禅師語録』に拠ることを明らかにした。さらに本話に加え、宋氏が指摘した道林禅師と白居易の問答譚や三箇所に引かれる「大恵禅師」の言葉が、いずれも『大慧普覚禅師語録』全30巻のうちでも巻19から巻24までを占める『大慧普覚禅師法語』の部分に含まれていることに注目、『普門院経論章疏語録儒書等目録』によれば東福寺普門院には「大慧語十冊」とは別に「法語一冊」も蔵されていたことが知られることから、無住は取り分けこの『法語』を愛読していた可能性が高いとの見通しを示した。その理由として、俗人の教化が一大関心事であった無住にとって『法語』の相手が俗人であったことが大きく関わっているのではないかと推定した。 無住の南宋代成立典籍の受容の様相をよりつぶさに明らかにしたことが本研究の意義である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
闘病中の家族を抱えているため。
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Strategy for Future Research Activity |
南宋代典籍が無住の人間観の形成に与えた影響についても今後考察を及ぼしたい。
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Causes of Carryover |
家庭の事情により出張に出向けなかったことによる。次年度使用額については書籍関係に充当する予定である。
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