2023 Fiscal Year Research-status Report
火野葦平『従軍手帖』戦後『日記』の基礎的研究―戦時下、戦後問題を核として―
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23K00330
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
増田 周子 関西大学, 文学部, 教授 (30294664)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 戦争 / 従軍手帖 / 日記 / 大東亜共栄圏 / 日本文学報国会 / 河童 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は「火野葦平『従軍手帖』戦後『日記』の基礎的研究―戦時下、戦後問題を核として―」というテーマを遂行するために、研究の土台をつくる基礎的な調査や資料収集を行った。まず、火野葦平の『従軍手帖』が何冊残っていて、未公開のものが何冊あるか、また、同様に火野葦平の戦後『日記』が何冊残っていて、未公開のものが何冊あるかを把握した。そのうえで、未公開の資料の一部を閲覧して撮影して整理し、それら『従軍手帖』に関係する戦争資料や文献を数多く集めた。 さらに、戦争の関連施設を訪れた。例えば、旭川市にある第7師団の戦争施設北鎮記念館は、直接、火野葦平が関与した師団ではないが、戦争の実態を知る上で役に立った。戦時中の庶民の生活がわかる展示があり、戦時下での庶民の風俗を知る良いきっかけになった。また、火野葦平が愛した作家、宮沢賢治の記念館に行き、宮沢賢治と火野葦平のつながりを確認した。火野葦平の詩人としての影響について探ることができた。さらに火野葦平と同じく戦時下で戦争協力を行い、そのために、多くのメディアに罵倒され自責の念に苛まれて、人里離れた山荘で暮らした高村光太郎についても調査した。花巻市にある高村光太郎の山荘を訪れ、戦争と作家について深く知ることができ、大東亜共栄圏構想についても考えることができた。戦時下での従軍作家の苦悩や、日本文学報国会の実態について探るきっかけができ、研究の方針や計画を立てることができた。 2023年度の資料を使い、今後さらに有意義な研究を進めて行くための骨格を作ることができた点は、十分な成果であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、資料収集や基礎的文献があつまり、次年度以降の研究の準備ができているから。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度に資料収集を行った火野葦平の『従軍手帖』および戦後『日記』について、翻刻をすすめ、公開する。続いて、戦争や戦後の従軍作家について探るために、各学会に参加し、知見を広げる。同時に、2023年度に行った、各地の戦争関連施設を訪れ知見を広げる作業を行い、大東亜共栄圏とは何であったのかを探っていきたい。
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Causes of Carryover |
研究のために、中国本土を調査する予定であったがビザが必要となったため、断念することになった。次年度は、海外を含め、国内などの調査を再開するので、使用できると考える。
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Research Products
(1 results)