2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23K00360
|
Research Institution | Tsuru University |
Principal Investigator |
齊藤 みどり 都留文科大学, 文学部, 教授 (30759858)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
|
Keywords | 比較文学 / 英語圏文学 / カリブ海域文学 / スレイブ・ナラティブ / ネオスレイブ・ナラティブ / ポストコロニアル文学 / 奴隷制 / 文学批評 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、英国のネオ・スレイブ・ナラティブの社会的意義についての研究に着手するため、必要な書籍を購入し、それを読み込んだ。 Baernard Bell のThe Afro-American Novel and Its Tradition(1987), Ashraf H.A. Rushdy のNeo-Slave Narratives (1999) などのスレイブ・ナラティブの基本となる文献や、Lars Eckstein のRe-Membering the Black Atlantic (2006) Arlene R. KeizerのBlack Subjects (2004) などを中心に、ネオ・スレイブ・ナラティブについての基礎的な文献を網羅し、アメリカでのネオ・スレイブ・ナラティブと英国でのネオ・スレイブ・ナラティブの違いについて調査をした。 調査の結果として、アメリカでのネオスレイブ・ナラティブは、奴隷制を経験した人々の記憶が薄れる中で、失われた人々の声を記憶するための装置として、主に公民権運動の発展とともに盛んに出版されたことがわかった。また国家からの援助もあったことから、アメリカにおけるネオスレイブ・ナラティブの出版は、英国に比べて活発であったことが明らかになった。 また、ネオ・スレイブ・ナラティブについて理論的な枠組みも調査し、英国におけるネオ・スレイブ・ナラティブの持つ意味についても考察した。その結果は、都留文科大学大学院の大学院紀要第28集に、 ‘Defining Neo-Slave Narratives in the British Context’としてまとめて発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
必要である文献は購入し、おおむね目を通すことができた。初年度に必要なネオスレイブ・ナラティブの背景となるアメリカと英国の状況を調べて、小説も読むことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、英国における初期のネオスレイブ・ナラティブに目を移し、2024年度は特にキャリル・フィリップスの作品を考察しする。
|
Causes of Carryover |
初年度の図書費が予想していたよりもかからなかったため。できれば、キャリル・フィリップス関連の文献を集めて、国内外の学会に参加したい。
|