2023 Fiscal Year Research-status Report
Vision and Retina in Nineteenth Century French Literature
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23K00417
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
橋本 知子 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 准教授 (60625466)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | フランス文学 / 19世紀 |
Outline of Annual Research Achievements |
歴史的文脈の分析、および、作品読解を中心に行い、網膜にまつわる19世紀後半の科学言説がどのように文学作品に反映しているかを考察した。特に、世紀末の視覚文化に関係する資料を、フランス語圏と英語圏の双方から収集することで、多角的に問題を検討するようにした。 夏期長期休暇を利用してパリに滞在し、フランス国立図書館にて資料調査を行った。またフランス人研究者と情報交換を行い、研究計画の方向づけに役立てた。 この文献収集を元にしてフランス語論文 (Epreuve sensible, ou comment exposer une image retinienne ?Optogramme dans Les Freres Kip de Jules Verne)を執筆。査読つき投稿論文として2023年10月に刊行された。対象としたのは、科学小説の作家ジュール・ヴェルヌの作品群のなかでも取り上げられる機会の少ない作品であり、新たな読みを提案することでヴェルヌ研究に貢献できたものと考える。 19世紀前半の生理学における議論を概観し、それが同時代フランス文学にどのような影響となって表れているかを、視覚文化史との関係をも踏まえながら共時的・通時的に分析するものであり、作家たちが医学を創作の源泉としつつも網膜上のイメージという主題を詩的言語によっていかに描いていたかを明らかにした。 また先行研究を整理し、特にここ数年のフランス語圏で発表された論文を取り入れ、また採択者独自の視点からこの問題を問い直した。他の研究者から講評をえる機会があり、今後さらにこの研究テーマを深めるための礎とすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大々的な文献収集を行い、19世紀の生理学に関係する先行研究、および、19世紀末から20世紀初頭にかけての視覚文化にまつわる先行研究を中心に資料調査を行った。それをもとにして査読つきフランス語論文(題名:Epreuve sensible, ou comment exposer une image retinienne ? Optogramme dans Les Freres Kip de Jules Verne)を発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も継続して先行研究の文献収集を行い、情報収集をさらに徹底させる。また対象とする文学作品を前回とは異なる時代、特に後続する世代の小説に絞ることにより、科学言説と文学言説の関係性の変遷を明確化するようつとめる。
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Research Products
(1 results)