2023 Fiscal Year Research-status Report
An Empirical Study on the 'Grammar of Realism' in Modern Western Literature Using a Multilingual Approach
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23K00447
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
野田 農 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (20907092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 大智 慶應義塾大学, 理工学部(日吉), 助教 (50894474)
霜田 洋祐 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 講師 (80849034)
西尾 宇広 慶應義塾大学, 文学部(三田), 准教授 (70781962)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | リアリズム文学 / 語圏横断 / ミメーシス / 小説の理論 / フィクション論 / 感情史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本共同研究の初年度にあたる令和5年度は、2023年の5月、7月、9月、12月の計4回の定期研究会(例会)を開催した。5月の例会においては当年度の活動計画を決定し、7月の例会において各人が担当領域の基礎的な文献リストを提示しながら、今後の研究の方向性についての報告を行った。さらに9月の例会では、研究代表者の野田が小説におけるリアリズムを主な主題として、このテーマに関わる先行研究を整理しつつ、文学ジャンルとしての小説の起源、リアリズムと小説に関する基礎的な調査報告を行なった。最後に12月の例会においては、各人の研究の進捗状況に関する報告を行った。加えて、分担者の霜田は今年度に本共同研究の調査ならびに研究集会への参加のために現地時間で11月15日から11月20日の日程でイタリアのミラノへ出張した。そのほか、各人が所属する学会等での研究成果発表も徐々に進められている。 また2024年1月27日には、慶應義塾大学日吉キャンパスにおいて、リアリズム文学研究会の枠組みでの第6回公開シンポジウム「感情とリアリズムー文学と歴史学の対話」を企画・実施し、近代ドイツ史、フランス史、スペイン文学、イギリス文学、フランス文学の分野から登壇者を招聘し、領域横断的な学術交流の機会を設け、感情史や感情の表象といった観点からリアリズム文学を捉え直す機会となった。各登壇者の発表とコメンテーターの総括を通じて、感情史における重要な概念が提示され、示唆に富む質疑応答を通じて分野や語圏を越えた意見交換がなされた。シンポジウムはハイブリッド形式で開催され、部分参加も含め150名を超える来場者を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本共同研究における初年度の計画は、各人が基礎的な文献調査を進めつつ、成果を定期研究会(例会)で報告することであり、その点に関しては概して計画通り進められている。また2024年1月27日に開催したシンポジウムにおいて、文学だけではなく歴史学の観点、とりわけ近年盛んになりつつある感情史の観点から本共同研究を捉え直す機会を得たことは、より豊かな研究を可能にするものであり、各人の研究分担の領域においても、大いに示唆を得ることができている。 また、当初の予定であった共同研究のプラットフォームとなるホームページ整備に関しては、本年度の例会の中で議論を重ねたことで、次年度以降にこれを実現する目処が立ちつつある。以上の点に鑑みて、本共同研究の初年度の研究実施状況は、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究実施状況に関しては、当初の予定通り、研究代表者と各分担者がそれぞれの担当領域における基礎的な文献調査を行うことができた。今後はさらに本研究の中心的な課題である各言語圏における〈リアリズムの文法〉の解明、及び〈リアリズムの文法〉の背景に関する考察に向けて、さらに調査や作品分析を進めていき、各人の所属学会の研究雑誌等での成果発表をおこなっていく。加えて、2年目にあたる2024年度の後半に、本共同研究の成果の中間報告の機会としての公開シンポジウムを企画・実施する予定である。さらには海外での資料調査も進めながら、3年目の研究に向けて必要な資料収集にも努める。
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Causes of Carryover |
本共同研究の当初の予定では、初年度に共同研究のプラットフォームとなるホームページを整備し、公開する予定であったが、当初の計画より整備に時間がかかっており、それに向けた支出が次年度以降に繰り越される形となったため、次年度使用額が生じた。繰越金額は次年度においてホームページ整備のための費用として使用する予定である。
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Research Products
(6 results)