2023 Fiscal Year Research-status Report
第二次世界大戦の記憶とカラー写真、非視覚的体験――リアリティの変容
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23K00449
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Research Institution | Nagoya University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
加藤 有子 名古屋外国語大学, 世界教養学部, 教授 (90583170)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | ホロコースト / カラー写真 / ゲットー / ポーランド文学 / 記憶 / プロパガンダ / 博物館 / リヴィウ・ポグロム |
Outline of Annual Research Achievements |
7月および1月~3月の春休みに、ポーランドとアメリカに渡航し、研究者と意見交換したほか、資料収集を進めた。ポーランドではワルシャワ・ゲットーとウーチ・ゲットーの写真関連資料、証言文学の資料収集・調査を行った。ホロコースト関連の写真は近年、ポーランドでも注目されており、ポーランド・ユダヤ史博物館やワルシャワ市博物館で関連の写真展を見学し、最新研究資料を入手した。ワルシャワの現代美術館では、リヴィウ・ポグロムの写真を応用した絵画作品であるニキータ・カダンの《ポグロム》シリーズを実地調査した。アメリカでは国会議事堂図書館、イェール大学図書館でナチのプロパガンダ・グラフ雑誌の『シグナル』ドイツ語版を調査したが、マイクロフィルム化されて白黒で保存された号が多く、カラー写真の利用が調査できなかったため、引き続き、他言語版も含め、ドイツなどで調査を行う。USホロコースト記念博物館の常設展が変更され、本研究に関わるカラー写真とカラー映像が多用されるようになったため、写真や視聴覚メディアの利用を中心に調査を行い、ホロコースト教育やホロコーストの記憶におけるカラー写真の役割を検討した。同博物館ホロコースト応用研究マンデルセンターでは研究員・司書と意見交換したほか、資料館であるシャペルセンターにて、証言インタビューや写真関連資料を調査した。7月には一般向けに、愛知県名古屋市の映画館で、ホロコースト関連映画『シモーヌ』について上映後トークを行った。戦争をめぐる語りの調査の一環として、知覧特攻平和会館を見学した。今後、海外の戦争関連博物館との比較を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1か月のポーランド渡航、アメリカ渡航をそれぞれ確保できたことで、資料収集を計画的に進めることができた。現地の研究者とも集中的に会い、意見交換や共同プロジェクトの打ち合わせが進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでポーランド、アメリカのホロコースト研究機関でアクセスできなかった資料をドイツで調査する。これまでのホロコースト写真の研究を本にまとめるべく、執筆を開始する。
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Causes of Carryover |
3月の長期休暇を利用した旅費精算後に端数として、520円が残った。来年度に使用する。
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