2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of structural reorganization mechanisms of brain networks supporting syntactic functions of aphasic patients.
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23K00487
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
金野 竜太 昭和大学, 医学部, 准教授 (70439397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 慶子 昭和大学, 医学部, 助教 (60868397)
小山内 綾子 昭和大学, 医学部, 助教 (70973379)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 統語 / 可塑性 / MRI / 神経膠腫 / 島皮質 / 内包後脚 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、脳腫瘍(神経膠腫)患者を対象として、統語機能評価と大脳皮質構造の解析を行った。被験者は左大脳半球の神経膠腫患者28名と健常者対照群23名である。責任病巣の同定にはRPI based lesion symptom mappingを用いた。大脳皮質構造解析ではSurface-based morphometryを用いた。その結果、左内包後脚に神経膠腫を有する患者では統語機能が障害されることが明らかになった。また、右島皮質の皮質厚が増大すると患者の統語機能が維持されることが明らかになった。右島皮質の皮質厚は、健常者でも統語処理負荷が増加すると関連性が見られた。さらに、左内包後脚に神経膠腫が少ないほど、右島皮質の皮質厚が増すことが明らかになった。以上のことから、左内包後脚と右島皮質はどちらも統語機能に関連があると推測された。そこで、左内包後脚と右島皮質の解剖学的連関を健常者のMRIデータベース上でFiber trackingを行い調査したところ、両脳領域を連絡する神経結合は、先行研究(Kinno et al., 2014)で同定された統語機能を支える脳内ネットワークと空間的に一致することを確認した。 以上の結果から、統語機能を支える脳内ネットワークにおいて、左内包後脚と右島皮質が重要であることが示された。また、神経膠腫患者では右島皮質における可塑性が統語機能の維持に重要であり、左内包後脚が神経膠腫により障害されると右島皮質の可塑性が障害されることが明らかになった。 また、小脳炎や神経変性疾患についても症例報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脳腫瘍患者において、統語機能の変化に伴い右島皮質の大脳皮質構造が変化し、その構造的変化が統語機能の脳内ネットワークと関連することを報告できた。さらに、左内包後脚の障害が右島皮質の皮質厚にみられて可塑性に影響を及ぼすことも報告できた。
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Strategy for Future Research Activity |
右島皮質や左内包後脚の重要性について、発達障害、脳血管障害、神経変性疾患を対象とした研究で検証する。また、脳腫瘍患者ではみられた言語処理速度の低下についてさらに検討する方針である。
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Causes of Carryover |
研究代表者と研究分担者2名の刺激提示タブレット端末、刺激提示用パソコンの購入ができなかった。 2024年度に購入して実験を遂行する予定である。
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