2023 Fiscal Year Research-status Report
Investigating the relationship between auditory discrimination and word recognition using Japanese pitch accent
Project/Area Number |
23K00490
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
篠原 靖明 早稲田大学, 商学学術院, 准教授 (10732737)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 日本語ピッチアクセント / 音声知覚 / Sine-wave speech / Noise vocoding |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、日本語話者が雨と飴の対にみられるようなピッチアクセントを知覚する際、どのような音響要素を用いているのか明確化することを目的としている。研究を行うにあたり、自然録音音声(NatRec)、サイン波音声(SWS)、ノイズボーコード化したサイン波音声 (NzVocSWS)の3種類の音声を準備し、それぞれの条件下における日本語話者のピッチアクセント知覚を調査した。自然録音音声では、ピッチアクセントの識別をすることが容易であったのに対し、基本周波数を含まないサイン波音声ではその識別能力が低下した。一方、そのサイン波音声をノイズボーコード化することで、日本語話者は音の強弱や長短といった音響要素を用いてピッチアクセントの識別をする傾向があることがわかった。音の強弱や長短といった音響要素を用いてピッチアクセントの識別力が向上するというのは、先行研究では得られなかった結果であり、これにより、日本語話者はピッチアクセントを識別する際、聞こえてくる音声(NatRec, SWS, NzVocSWS)に応じて、使用する音響要素を柔軟に変更する傾向があることがわかった。 2023年度には、上記データ分析を行い、これら結果を国際学会で発表した。また研究成果を論文にまとめ、国際ジャーナルへ投稿した。今後は、国際ジャーナルからの論文出版に向けて編集を続けるとともに、本研究をさらに発展させ、サイン波音声を用いた知覚能力に関する言語間での比較研究も遂行する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、研究代表者の在外研究期間であったため、本研究は当初の計画以上に進んで遂行することができた。本課題で目的としていたデータの分析を終え、代表者は学会にて研究成果の発表を行った。さらに論文を執筆し、国際ジャーナルへ提出をした。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、本研究をさらに深化させ、単語のみではなく文単位のサイン波音声の知覚に関して、調査を実施する予定である。2024年度は先行研究を行い、共同研究者と相談の上、実験方法の詳細を決定し、データ収集を行う。本研究を国際共同研究にすることで、言語間比較を視野に入れながら実験を遂行し、国際的に普及力のある研究へと発展させる。
|
Causes of Carryover |
本研究は、当初の計画以上に進展していたため、次年度使用予定であった予算を前倒し請求した。当初計画していた研究費は使用したものの、前倒し請求した金額を全て使用しなかったため、次年度使用額が生じた。次年度にも本研究を継続して遂行するため、旅費や人件費等に使用する。
|