2023 Fiscal Year Research-status Report
Research and Investigation for the Preservation of the Xiang Dialect in Luoma Village, China
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23K00509
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Research Institution | Chuogakuin University |
Principal Investigator |
王 振宇 中央学院大学, 商学部, 教授 (70532191)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 漢語方言 / 湘語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、中国湖南省西南部の邵陽県落馬村の方言を調査し、保存することを目的としている。研究内容は、現地でのフィールド調査、調査データの整理、論文・研究発表などによる研究成果の公開の3つの部分から成り立っている。2023年度は本研究プロジェクトの初年度である。2023年の8月と2024年3月の2度にわたり、湖南省邵陽県落馬村で方言調査を実施した。近年、出稼ぎで市区部に移住する人が多いため、適切な方言話者の選定が難しくなっている。このため、初回調査の主な目標は新たなインフォーマントの選定であり、地元村民の協力を得て、適切な方言話者を見つけることができた。過去の調査で農家嶺地域の方言が最も古いと地元の人々から聞いていたため、初年度の調査地点を農家嶺に設定した。調査手段としては、調査票と自然談話の録音を行い、複数の方言話者による山歌や民話のデータも収集した。このデータ収集は、方言の音韻、語彙、文法の詳細な記録を目的とし、地域の文化遺産としての方言を保存するための重要な基盤となった。また、収集したデータの整理とデータベースの構築、さらにそれに基づく論文の執筆にも取り組んだ。特に方言の副詞に関する論文を執筆し、その成果をまとめた。さらに、学会に参加し、同分野の研究者の発表を通して、研究の方向性や方法論に関する新たな視点を得ることができた。上記の研究活動のほか、標準語の中国語教科書を作成し、出版した。この経験は、将来的に落馬村方言の教科書を編集する際に大いに参考となり、教科書編集のノウハウを方言保存に生かすことができると考えている。以上の通り、本年度の研究活動により、収集したデータの分析を進め、当初の研究目標を達成したと考えている。今後も引き続き、収集データの分析を深め、さらなる研究成果の発表を目指していく所存である
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度においては、適切な方言話者の選定が成功し、また予定通りに調査地点で方言データを取得できたため、研究は順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は同様に落馬村の地域を対象に、現地でのフィールド調査を継続する。方法は本年度と同様に調査票と自然談話の録音を用いるが、方言話者の確保が最大の課題である。このため、地元の協力者ネットワークを強化し、年に2回のフィールドワークを計画している。収集データの整理とデータベースの更新を継続し、論文執筆などを通して研究成果を迅速に活用する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、他にもう一つの研究課題による旅費で出張する機会があったため、当初予定していた旅費の一部を節約することができたことによるものである。次年度の使用計画としては、まず、節約された旅費を利用して、さらに詳細なフィールド調査を実施する予定である。また、方言話者の確保を強化するため、現地協力者との連携を深めるための活動に使用する計画である。
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