2023 Fiscal Year Research-status Report
Study of Books for Learning the Japanese Language Edited by the Missions Etrangeres de Paris in the Early Meiji Era
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23K00547
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岸本 恵実 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 教授 (50324877)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | カトリック再宣教 / イエズス会 / パリ外国宣教会 / キリシタン / エヴラール(Evrard) / プチジャン(Petitjean) |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)フェリクス・エヴラールによる『日本語教程』(1874)の一人称・二人称を分析し、「わたくし」でなく「わたし」を通常の形として採用するなど、同時期の他の西欧人による観察よりも口語的要素が強いこと、浮世草子『新鑑草』を底本とするテキスト部よりも練習問題などの非テキスト部に口語的傾向が強いことを明らかにした。 (2)ベルナール・プチジャンによる『羅日辞書』(1870)の、キリシタン版『羅葡日辞書』(1595)からの編集実態を分析し、見出し順や日本語訳に少なからぬ改変が加えられていることを明らかにした。見出し順については、16世紀のラテン語辞書カレピヌスの見出しを『羅葡日』にてアルファベット順に並び替え、『羅日』にてさらにそれが徹底された結果、『羅葡日』においても『羅日』においても、既に記した語釈を指す「miguino(右の)」の使用など日本語訳に調整が行われていた。 (3)長崎神学校の初級ラテン語教科書として印刷された『ラテン語講義』(Praelectiones Linguae Latinae, 1877)が、当時フランスで知られたロモンによる旧約聖書要略Epitome historiae sacraeを底本とする、やや口語的な創世記抄訳であることを明らかにした。 (4)キリシタン版『さるばとるむんぢ』は従来1598年刊行のカサナテンセ本のみ存在が知られていたが、2022年発見された、1595年頃刊行された別刷のユトレヒト大学本にも漢字語集・キリシタン用語集が付属していた。2本の辞書を分析し、本書に信徒の読み書きおよび基本教理学習の用途も付加されていたことを推測した。 (5)パリ外国宣教会図書館に所蔵されている日本関係書は、在仏日本関係書群の一つでありながら、ほぼ未調査のままになっていることが判明した。これらには18~19世紀刊行の和本など貴重な資料が含まれている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
パリ外国宣教会の語学書のうち、当初予定していた『日本語教程』以外の複数の資料について調査を進められたため。
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Strategy for Future Research Activity |
パリ外国宣教会の資料は国内外に膨大に現存しており、語学書に限っても研究が進んでいないものが多いので、書誌および成立事情を解明しながら進めていく。
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Causes of Carryover |
購入予定の書籍の刊行が延期となったため、2024年度に購入する。
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Research Products
(9 results)
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[Book] 近世日本のキリシタンと異文化交流2023
Author(s)
大橋幸泰, 岸本恵実, 平岡隆二, 折井善果, 木﨑孝嘉, 阿久根晋, 牧野元紀, 清水有子, マルタン・ノゲラ・ラモス
Total Pages
256
Publisher
勉誠社
ISBN
9784585325307